熊本市の小中学校、夏休みのプール開放廃止 運営に不安の声、再開を断念

AI要約

熊本市教育委員会は2024年度の夏休みから、市内の小中学校のプール開放を正式に取りやめる決定をした。新型コロナウイルスの影響や運営面の不安、警備会社の監視員確保の困難さが理由とされている。

プール開放は児童の重体事故が発生した12年度までは各校のPTAが運営していたが、その後は運営委員会や市教委が担当し、安全対策を講じてきた。しかし、継続が難しい状況となり、20年度以降は中止が続いていた。

熊本市外ではPTA主催でプールを開放する小学校も存在しており、今夏は一部の地域で開放が予定されている。

熊本市の小中学校、夏休みのプール開放廃止 運営に不安の声、再開を断念

 熊本市教育委員会は20日に始まる2024年度の夏休みから、市内の小中学校のプール開放を正式に取りやめる。新型コロナウイルス禍で20年度から中止されていたが、市PTA協議会から出た運営面の不安や警備会社の監視員確保の困難さから再開を断念した。

 プール開放は、児童の重体事故が発生した12年度までは各校のPTAが運営していたが、13年度からはPTAと学校でつくる運営委員会、市教委による実施に変わった。監視マニュアルを作成し、警備会社の監視員を配置したり、保護者向けの救命救急研修会を開いたりして安全の確保に努めてきた。

 実施する学校には、市教委が1校当たり28万円を上限に警備会社への委託料などを補助していた。

 しかし、新型コロナの影響で、19年度に小学校35校が開放したのを最後に20年度から中止が続いていた。市PTA協議会は、数年間実施せず運営面で不安があることや監視員の確保の難しさ、授業で民間プールを使用する学校との不平等感を挙げ、昨年9月に市教委へ廃止を提案した。

 市教委は、今年2月に各校の校長やPTA会長、警備会社、市消防局にプール開放の廃止を通知した。市教委地域教育推進課は「事故の危険性が非常に高く、継続するのは難しいと判断した」と説明する。

 市PTA協議会の濱石浩二会長は「続けたい思いもあったが、コロナ禍でずっと中止しており、運営の経験がある人が少なかったため、続けるのは難しいと考えた」と話した。

 熊本県教育委員会によると、熊本市外の小学校ではPTA主催で22年度に28校、23年度に47校がプールを開放した。今夏は八代市や水俣市、阿蘇市などの一部の小学校が開放する予定。(上野史央里)