国産ニンニク、20年で栽培5割増 青森以外にも生産拡大

AI要約

ニンニク市場が拡大している。新型コロナウイルス禍による内食需要や健康志向の高まりが背景にあり、ニンニク調味料や生鮮品の販売額が増加している。

国産ニンニクの品質に対する信頼感もあり、栽培面積が拡大しており、産地の多様化も進んでいる。

特に北海道などでの栽培が進み、国産ニンニクの需要が高まっている。

国産ニンニク、20年で栽培5割増 青森以外にも生産拡大

 ニンニクの市場が伸びている。新型コロナウイルス禍のマスク生活や巣ごもり需要で、独特の臭いを気にせずに楽しむ動きが広がり、チューブなどのニンニク調味料や生鮮品の販売額は拡大。ニンニク料理専門店も登場し、客層を広げている。国産ニンニクの品質の高さに対する信頼感もあり、国内の栽培面積は20年で1・5倍に伸び、産地の多様化も進む。

 調査会社インテージによると、ニンニクのチューブなど調味料の販売金額は2017年に50億円だったが、拡大が続き23年には85億円になった。同社は、コロナ禍での内食需要の伸びや消費者の健康志向が、好調な需要の背景にあるとみる。

 エスビー食品は、青森県産「福地ホワイト六片」を使用したチューブ「名匠にんにく」を販売する。同社によると、24年度の同商品の販売金額は、コロナ禍による需要増が本格化する前の19年度と比べて69%増え、右肩上がりで推移しているという。「チューブにんにくは、手間がかからない上、使用量を調整しやすい簡便性から、伸長傾向にある」と話す。

 東京都内でニンニク料理の専門店を運営するNO GARLIC NO LIFEも、主に青森県産の「福地ホワイト六片」を使う。代表の中山治伸さんは「うま味と甘味が抜群に強い」と評価する。国産は、中国など外国産と比べ雑味やえぐ味も少なく使いやすいという。店舗には、コロナ禍前は週末に来客が集中していたが、現在は曜日を選ばず老若男女が訪れ、消費の裾野が広がっている。中山さんは「品質の高い国産ニンニクを扱う飲食店は今後も増えるだろう」と予想する。

 国内では産地の多様化が進む。03年は全栽培面積1740ヘクタールのうち75%を青森県が占めていた。一方、22年では計2550ヘクタールとなり、全国で栽培されている。青森県のシェアも56%となった。

 特に産地化が進むのが北海道だ。畑作地帯にあるJA十勝清水町は、09年ごろから栽培を開始。安定生産へウイルスフリー種子の供給体制を整えるなどした他、しょうゆやドレッシングなどの調味料も開発して販路も開拓する。JAの担当者は「国産への信頼感が強みになり、引き合いも強まっている」と指摘。特に加工食品や飲食店で使いやすい、冷凍のむきニンニクの需要が高いという。栽培面積は現在の19ヘクタールから将来的に45ヘクタールほどに広げることを目指す。

 財務省の貿易統計によると、ニンニクの輸入量は22年で2万4049トンで、ほぼ中国産。一方、農水省によると、国産ニンニクの収穫量は同年で2万400トンとなっている。(南徳絵)