年金だけで生活できない高齢者世帯は58.3%に増加…「65歳以上の無職夫婦世帯・単身世帯」の家計収支は毎月約4万円の「赤字」に
高齢者世帯の多くが年金だけでは暮らしにくい状況であることが厚生労働省の調査で明らかになりました。
総務省の家計調査によると、65歳以上の世帯では年金だけでは支出をカバーできず、節約が必要とされています。
食料、光熱・水道、交通・通信、教養・娯楽、交際費などの節約ポイントが紹介されており、健康や生活に必要な支出とのバランスを考える必要があります。
2024年7月5日、厚生労働省が発表した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金を受給している高齢者世帯のうち58.3%は年金のみでは暮らせない状況で、昨年と比べて2.3ポイント増えています。
物価高で生活が困難な世帯が増加していることが窺えます。こうした中、6月21日に開かれた記者会見で、岸田首相は、低所得世帯と年金世帯に追加給付金を検討していると発言しました。
年金生活の実態はどうなのか。今回は総務省の家計調査のデータをもとに、高齢世帯の家計支出について解説します。支出を減らすための節約ポイントもご紹介しておりますので、参考にしてください。
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総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)」によると、65歳以上・無職夫婦のみ世帯の家計収支は下記の図のとおりです。
実収入は24万4580円で、そのうち年金など社会保障給付は21万8441円です。
支出の合計は消費・非消費を合わせて28万2497円のため、3万7916円の赤字となっています。
年金だけでは家計を支えるのに不十分なことが分かります。
65歳以上・単身世帯の家計収支は以下のとおりです。
実収入は12万6905円で、そのうち年金など社会保障給付は11万8230円です。支出の合計は15万7673円のため、3万768円不足しています。
単身世帯の場合でも、年金だけでは支出をカバーできないことが分かります。
消費支出のうち割合が大きいのは、食料、高熱・水道、交通・通信、教養・娯楽、交際費です。
それぞれの節約方法について解説します。
●食料
食品は健康と密接に関連していることから、極端な節約はおすすめできません。
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「野菜、食べていますか?」では、食生活において野菜の摂取をおすすめしています。
たとえば野菜には、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれています。野菜を多く食べる方は脳卒中や心臓病などのリスクが低くなるとの結果が、多くの研究でも示されているとのこと。
食費を節約しながらも、栄養をバランスよく摂取できるよう十分に気を付けましょう。
つい余計なものを買ってしまいがちな方は、下記のポイントを実践してみてください。
・買い物を週3回以下にする
・買うものを事前にメモしてそれ以外は買わない
・お腹が空いている状態で買い物に行かない
・レジに向かう前にスマホなどの計算機で合計額を確認する
・コンビニは極力利用しない
●光熱・水道
水光熱費は食品と同じく健康と関連が深いため、極端に削減しないよう注意が必要です。
たとえば気温や湿度が高いのに節約といってエアコンを使用しないと、熱中症のリスクが高まります。
無理なく水光熱費を節約するには、以下の方法が挙げられます。
・エアコンの設定温度を夏は高め・冬は低めにする
・お風呂はすぐに入って追い炊きをしない
・水を出しっぱなしにしない(シャンプーや歯みがきの最中など)
・お風呂の残り湯を洗濯に利用する
・洗濯のすすぎを1回にする
・エコ機能に優れた家電製品に買い替える
●交通・通信
通信費の節約方法として、まず格安SIMの導入が挙げられ、大手携帯キャリアよりも通信費を大幅に下げられます。
格安SIMの導入は難しいと感じる方も、今契約している料金プランが本当に適切か、不必要なオプションが付いていないかを一度チェックしてみてください。
また、固定電話の使用頻度が少ないなら解約を検討してみましょう。
交通費については、短い距離なら電車・バスを使わずに徒歩で移動するのも良いです。適度なウォーキングは、足腰の健康維持にも役立ちます。
公共交通機関を利用できる環境なら、車を処分すればガソリン代に加え駐車場代や自動車税などもカットできます。
●教養・娯楽
趣味に関する出費の節約方法はさまざまです。
たとえば読書であれば、購入を止めて図書館で借りれば無料で読めます。
買った場合も、新品に近いきれいな状態ならフリマアプリで売却しやすく、節約につながります。
マンガ・映画・音楽などについては、その都度支払うよりもサブスクに加入するほうが節約になるケースも。
逆に、あまり利用していないサブスクなら解約したほうが良いでしょう。
●交際費
定年後は自由になる時間が増えるため、交際費が増えてしまう方もいます。早い段階で友人・知人との付き合い方を見直しましょう。
自分の生活を第一優先で考え、経済的に無理のない範囲で付き合うことが重要です。