香川「ことでん」再生への第一歩! 「地域の交通インフラ支える」 人口減の沿線自治体が見せた譲れない“覚悟”とは

AI要約

香川県の高松琴平電気鉄道(ことでん)の鉄道事業再構築実施計画が国土交通省から認定された。沿線地方自治体が支援する中、利用客が急増している路線バスのバスターミナルと郊外の駅について報告されている。

仏生山駅周辺の人口増加地域や近隣施設の整備状況、さらに計画の内容には複線化や新駅の設置、割引制度などが含まれている。

高松市が計画する新駅周辺の開発の見通しや利便性について、地元の動きや期待も記されている。

香川「ことでん」再生への第一歩! 「地域の交通インフラ支える」 人口減の沿線自治体が見せた譲れない“覚悟”とは

 香川県の高松琴平電気鉄道(ことでん)の鉄道事業再構築実施計画が、国土交通省から認定された。そこには苦境にあえぐ地方鉄道維持に向けた沿線地方自治体の覚悟が見える。

 バスターミナルに到着した路線バスの乗客が次々に駅へ向かう。郊外の駅なのに、利用客は思いのほか多い。梅雨の晴れ間となった7月上旬、香川県高松市南部のことでん琴平線仏生山(ぶっしょうざん)駅(仏生山町)。中心部の高松築港(ちっこう)駅(寿町)へ向かう朝の通勤列車は、大勢の利用客を乗せて駅を離れた。

 朝のラッシュ時に仏生山駅を発着する列車は日中の倍となる4両編成で運行しているが、都会の通勤列車並みに混雑することもある。国交省によると、2022年の1日平均乗降客数は3292人。中心部にある瓦町駅(常磐町)、高松築港駅、片原町駅(鶴屋町)に次いで多い。

 仏生山駅周辺は東に古い商店街があるほか、高松市民病院が高松市立みんなの病院に改称して移転し、住宅開発が続いている。1.8km北にある太田駅(太田上町)までの間は、市内有数の人口増加地域だ。

 ことでんの再構築実施計画は琴平線の伏石駅(太田下町)~琴電琴平駅(琴平町)間27.9kmが対象。

 太田駅~仏生山駅間の複線化や太田駅南約500mへの新駅(多肥上町)設置、新造車両の導入、踏切などの設備更新、高齢者やバス乗り継ぎに対して割引を実施する。期間は7月から2029年3月末まで。事業費は

・新造車両導入と設備更新:約72億円

・複線化:約10億円

・新駅設置:約8億円

・割引実施:約7億円

の合計約97億円。香川県と

・高松市

・丸亀市

・さぬき市

・三木町

・綾川町

・琴平町

・まんのう町

が国の社会資本整備総合交付金などを活用してことでんを支援する。

 新駅が設置されるのは、県道太田上町志度線が高架で琴平線をまたぐ南東側。高松市が2018年にまとめた基本計画では、地上駅と

・路線バス

・コミュニティーバス計8系統

・タクシー

が乗り入れる駅前広場を整備するとしている。

 新駅から瓦町駅までは約5km、高松築港駅までだと7km足らず。高松市の不動産大手は

「通勤通学の利便性が高い。集合住宅や宅地の開発が続き、土地の物色に動く業者も少なくない」

という。さらに、車で5分程度の位置には、香川県立図書館や総合コンベンション施設のサンメッセ香川、香川大創造工学部などがある。高松市交通政策課は

「駅前広場への路線バスでこれら施設の利用者を取り込めば、かなりの需要があるはず」

と期待している。