なぜ高松市が「交通改革」で注目されるのか? 財政負担を抑えた実効性の高い「高松モデル」の中身

AI要約

香川県の県庁所在地である高松市は、公共交通ネットワーク再構築に積極的な町として知られており、交通インフラが整備されている。

高松市には観光名所や商店街が集まるエリアがあり、瀬戸内海との交通も便利な立地である。

高松市のまちづくりは、2010年に策定された「総合都市交通計画」をきっかけに進んでおり、市長のリーダーシップの下で進められている。

なぜ高松市が「交通改革」で注目されるのか? 財政負担を抑えた実効性の高い「高松モデル」の中身

 日本の都道府県の中でもっとも面積が小さい、香川県。その県庁所在地が、高松市である。この高松市が近年、「公共交通ネットワーク再構築」に積極的な町として知名度が上がっているという。その実態を取材すべく、高松市へ向かった。

 羽田空港から高松空港に到着すると、そこは讃岐山脈から続く丘陵地帯で、高松市街に向かって平野が広がっている。

 空港から約10km走ると、東は徳島、西は愛媛につながる高松自動車道の下をくぐる。この周辺は、マンションや比較的新しい戸建て住宅があり、関東圏でもなじみのあるロードサイド飲食事業店も少なくない。

 そこから約2km進むと、国の特別名勝に指定され、日本最大の広さを誇る文化財庭園「栗林公園(りつりんこうえん)」が左手に見えてくる。

 その先は、香川県庁、高松市役所、ビジネス街、高松中央商店街などが集約するエリアとなる。高松中央商店街は、アーケードの総延長が2.7kmもあり、日本一長いアーケード商店街だと言われている

 さらにその先は、瀬戸内海の小豆島、直島、女木島などとの定期航路を運航している高松港。そこに隣接する形でJR高松駅、および「ことでん(高松琴平電気鉄道)」の高松築港駅がある。

■5つの鉄道が走る街

 JRは、高松と愛媛を結ぶ予讃(よさん)線と、高松と徳島を結ぶ高徳(こうとく)線。また、私鉄のことでんが、琴平線、長尾線、そして志度線の3路線を香川県内で運行している。40万人規模の都市で、5つの鉄道路線を持つ都市はめずらしい。

 これは、瀬戸大橋を走る鉄道が開通した1988年まで、本州と四国を結ぶ唯一の交通手段だった宇高連絡船(岡山県宇野駅~高松駅)により、高松が四国の玄関口であったことに起因するものだ。

 こうして、高松市街地周辺をめぐると、地理的な環境として「コンパクトな体系の町」というイメージが実感できる。

 そんな高松市が実行しているまちづくりが、「高松モデル」だ。詳細について、高松市都市整備局交通政策課の皆さんから話を聞いた。

 高松市のまちづくりに対する変革のきっかけは、2010年11月に策定した「総合都市交通計画」だったという。2007年に就任し、現在5期目となる大西秀人市長のリーダーシップにより、議論が始まったものである。