「ただの“小ベンツ”」じゃ満足できない人へ! 名車「190EエボII」をモチーフにした“レストモッドモデル”「HWA EVO」の正体とは

AI要約

AMGの共同創業者が手がけるメルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」の現代解釈版「HWA EVO」が注目を集めている。

HWA社はハイパーカーの開発に携わり、AMGの一部門としても活躍してきたエンジニアリング会社である。

「HWA EVO」は古典的な「190E 2.5-16 エボリューションII」を現代技術で再解釈し、高い人気を獲得している。

「ただの“小ベンツ”」じゃ満足できない人へ! 名車「190EエボII」をモチーフにした“レストモッドモデル”「HWA EVO」の正体とは

 旧車をレストアし、そこに独自のモディファイを加えるレストモッド界において、今、1台のモデルに注目が集まっています。AMGの共同創業者が手がけるメルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」の現代解釈版「HWA EVO」がそれ。

 このモデルを生み出すHWA AGは、アポロ「IE」やパガーニ「ウアイラR」といったハイパーカーの開発において重要な役割を担ったエンジニアリング会社で、ハンス・ヴェルナー・アウフレヒト氏が立ち上げた会社です。

 アウフレヒト氏はあのAMGの共同創業者のひとり。AMGという名称にある「A」は、何を隠そうアウフレヒト氏のイニシャルなのです(ちなみに「M」はメルヒャー、「G」はグロースアスパッハのイニシャル)。

 HWA社は、「CLK GTR」の公道バージョンである「CLK DTM AMG」や、「SL65ブラックシリーズ」など、AMGが手がけたスペシャルモデルの技術開発に携わった経験も有しています。

 また、AMGがメルセデス・ベンツと資本提携を結んだ1999年の前年には、AMGからレース部門とパーツ製造をHWA社に移管。以降、2000年からの新生DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)に参戦するメルセデス・ベンツ車両の開発や、F3用カスタマーエンジンのデリバリーを担当してきました。

 その後も、2020-2021シーズンにフォーミュラEでHWAレースラボというチーム名にてメルセデス・ベンツのワークスチームを運営したり、FIA F2とFIA F3におけるメルセデス・ジュニアドライバーの育成を担当したりしています。

 そんなHWA社がレストモッドによって生み出す「190E 2.5-16 エボリューションII」の現代解釈版「HWA EVO」は、かつてのDTMを制することを目指し、メルセデス・ベンツが開発した「190E 2.5-16エボリューション」がモチーフ。

 本家のホモロゲーションモデルにはエボリューションIとIIの2種類が存在し、合計1000台が生産されました。

●伝説のDTMマシンを現代解釈してレストモッド

「HWA EVO」のベースとなるのは、1980年代にデビューしたメルセデス・ベンツのコンパクトセダンで、現在の「Cクラス」の祖先である「190E」です。

 レストモッドに際してあらゆるパーツが取り外され、車両の下地づくりがおこなわれます。腐食やサビなどから車両を守るための“KTLコーティング”と呼ばれるコーティングが施され、ロールケージが装着されます。

 インテリアはまだ公開されていませんが、レカロ製のクラシックなシートを備え、電動パワーウインドウ、最新のエアコンを装備。インパネ回りにはデジタルディスプレイを装備するそうです。

 またオーディオシステムは、カーナビと連動。Bluetoothでスマホなどの接続も可能にするそうです。最新のクルマに遜色ない装備を持つということでしょう。

 もちろんエクステリアは、「190E 2.5-16 エボリューションII」にインスパイアされたものに仕上がっています。

 気になるエンジンは、メルセデス・ベンツの3リッターV6ツインターボエンジンをHWA社がチューニングしたもの。最高出力は450ps、最大トルクは550Nmを発生するそうです。

 組み合わされるトランスミッションは6速MT。トランスアクスル方式により前後重量配分50:50を実現します。

 なおブレーキは、フロントに380mmディスクと6ポットキャリパー、リアに360mmディスクと4ポットキャリパーがおごられます。

 最新技術を用いて“現代版”の「190E 2.5-16 エボリューションII」に仕立てられた「HWA EVO」。ポッと出のカスタムショップがレストモッドブームでひともうけしようとしているのではなく、確かな技術力を有する由緒正しいHWA社が手がけるモデルだけに、きっと高い人気を獲得することでしょう。

 気になる車両価格は、オプションを除いて71万4000ユーロ~(約1億2350万円~)。12か月/2万マイルの保証つきで、公道走行のための書類も備わっています。

 100台限定で、2025年からデリバリーがスタートする模様の「HWA EVO」ですが、すでに75台分の枠は売れているとの情報も漏れ伝わってきています。

 なお、2024年7月24日にドイツで開催されるRMサザビーズのオークションには、1台分の生産“枠”が出品されています。伝説のエンジニアリング集団が手掛ける究極のレストモッド車両。その価値は、時を経るとともにさらに高まっていくに違いありません。