英紙が指摘、「東京メトロ」上場に秘められた、政府の市場改革と現実との大いなる“矛盾”

AI要約

東京メトロは、株式上場を目指して進めており、公共サービスと収益性のトレードオフに直面している。

完全民営化によって、日本の国民的アイデンティティである電車にかかる重要性が浮き彫りになっている。

東京メトロの上場は、国内最大級の公営企業であり、日本の株式市場に印象的な影響を与える可能性がある。

英紙が指摘、「東京メトロ」上場に秘められた、政府の市場改革と現実との大いなる“矛盾”

東京メトロは、現在、上場準備を着実に進めているとされる。しかし、日本政府は、株式市場を株主に利するものに改革しようとしており、上場すれば企業は高い収益を上げるよう求められる。そんななかで、日本の重要な鉄道会社が新たに上場したらどうなるのか、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が考察した。

東京メトロでは、たった180円の基本運賃で、かなりの頻度で運行する。車内はエアコン完備で、定刻通りに動くので、乗客は都内を素早く移動できる。その切符は当然買いだが、それでは、その株式はどうだろうか。

この問いには、想定されていたよりもはるかに困難なイデオロギーの衝突がつきまとう。東京メトロは中央政府と東京都の両方が保有しているが、政府は株式の一部を売却したがっている。しかし、アクティビズムの時代を迎えたいまでは、事業を誰の利益のために運営するのかを明言しなくてはいけない。日本が実現を望む緻密な投資カルチャーを実現すると宣言する必要があるのだ。

技術フェチの日本において、電車はとても注目され、非常に魅力的なものであり、そこでは決して失敗が許されない。しかし、完全民営化によって、公共サービスと収益性の古典的な資本主義のトレードオフを求められることになる。そこにかかっているのは、日本の国民的アイデンティティである電車だ。

計画通りにいけば、この上場問題は数ヵ月後に持ち上がるだろう。東京メトロは金融機関を除き、国内最大級の公営企業である。その完全民営化は、2015年に日本郵政公社を売却して以来、ほぼ10年にわたって財務省が実現しようとしてきたことだ。

東京の株式市場が活況にある現在は、大々的なIPO実施には逃せない機会だ。東京証券取引所において大型上場が限られるなか、その状況を打破するきっかけになるだろうと、関係者や銀行家は言う。

それに問題があるという人はほとんどいない。また、利益を得ようと必死な一般投資家を中心に、国の宝を購入しようとする人は大勢いるだろう。