インド、民営化路線修正へ 国営企業改革を計画=政府筋

AI要約

インド政府は国営企業の収益改善に向けた改革計画を進める。モディ首相率いる与党の民営化計画が難航しており、方針修正が検討されている。

政府は国営企業の資産売却や業績目標設定などの新たな方針を打ち出す。後継者計画や上級管理職研修も導入される予定。

民営化は難しい状況が続くものの、国営企業株式指数は伸びており、政府の配当収入増加が期待されている。

Nikunj Ohri Manoj Kumar

[ニューデリー 12日 ロイター] - インド政府は国営企業200社以上の収益改善に向けた改革を進める計画。モディ首相が掲げてきた積極的な民営化計画は難航しており、従来の方針を修正する。複数の政府筋が明らかにした。

政府は2021年、国営企業の大半を売却する大規模な民営化計画を発表したが、これまでに民営化が完了したのはエア・インディアのみ。今年4─5月の総選挙ではモディ氏率いる与党が過半数議席を割り込み、民営化の推進は一段と困難になった。

政府筋によると、国営企業の改革計画はシタラマン財務相が23日に発表する予算案の一環として公表される。

計画では、国営企業が所有するフル活用されていない土地などの資産を売却して現金化する。今年度(4─3月)に240億ドルを調達し、国営企業に再投資する。また、各国営企業について、短期目標ではなく、5年間の業績・生産目標を設定する。

政府筋は「見境のない資産売却から、国営企業の内在価値向上に重点を移す」と述べた。

また、国営企業の後継者計画も導入する。上級管理職を育成するため、管理職23万人を対象とした研修も行う。現在、国営企業のトップは政府が任命している。

民営化は難航しているものの、国営企業の株式で構成するBSE・PSU指数は過去1年間で100%以上上昇。指標となるBSE指数の22%上昇を上回っている。

政府は改革が国営企業の業績改善につながり、政府の配当収入が増えることに期待を寄せている。

関係筋によると、国営企業が今年度に政府に支払う配当は、従来予想の4800億ルピー(58億ドル)を大幅に上回るとみられている。