ヘッジファンドCFM、運用報酬30%に引き上げ-競争激化で大胆戦略

AI要約

フランスのヘッジファンド運営会社、キャピタル・ファンド・マネジメントのジャンフィリップ・ブショー会長が、旗艦クオンツファンドの運用報酬を引き上げた理由やファンドの成績について述べられている。

CFMは新型コロナウイルス禍後、ボラティリティーに乗じてさまざまな戦略を展開し、高いパフォーマンスを維持している。

市場トレンドや経済シグナルに基づく取引だけでなく、サステナビリティーや統計的アービトラージも取り入れられている。

(ブルームバーグ): フランスのヘッジファンド運営会社、キャピタル・ファンド・マネジメント(CFM)のジャンフィリップ・ブショー会長は、金融分野の正当性に挑むことで知られる。理論物理学者からヘッジファンド幹部に転身した同氏は、ミーム株マニアからインデックス投資ブームに至るまで、無分別な資本フローの時代における効率的市場仮説の欠陥を詳述した研究で有名になった。

そうしたブショー氏がまたも大胆な行動に出た。同社の旗艦クオンツファンドの運用報酬を20%から30%に引き上げた。

運用資産117億ドル(約1兆8500億円)のマルチ戦略ファンド「ストラタス」の年初来リターンは6月30日までの時点で8.7%。事情に詳しい関係者が明らかにした。同ファンドは先物やオプション、株式などを取引する。運用報酬の引き上げはテクノロジーを駆使したクオンツファンドの間で競争が激化する中、人材とデータ獲得を目指す取り組みの一環だ。

「われわれがやっていることをできる人々は、世界でもそれほど多くはいない」とブショー氏(62)はインタビューで発言。「同じ場所にとどまるためには、走っていることが必要だ。競争は増し、アルファ悪化のスピードは速くなっている」と述べた。

CFM(運用資産総額153億ドル)は新型コロナウイルス禍後のボラティリティーに乗じたヘッジファンドの一角だ。当時は中央銀行が事実上のゼロ金利時代からの退却を余儀なくされ、これがルールベースの投資家軍団の運命を一変させた。「クオンツの冬」と呼ばれた時代には、こうした投資家は取引の低迷に陥っていた。

CFMは市場トレンドと経済シグナルに基づく先物取引で知られるが、現在ではオプションのほか、サステナビリティーおよび統計的アービトラージなど幅広い戦略を用いる。

事情に詳しい関係者によると、CFMのストラタスは株式と債券市場が急落した2022年に18.3%のリターンを上げ、昨年には11.3%の成績を収めた。こうしたパフォーマンスは、業界のベンチマークであるピボタルパスの指数と比べて際立っている。ストラタス・ファンドは、資金流出の補充を除けば、依然として新規投資家の募集を停止したままだ。