シティ、カード事業の損失急増で対策強化-口座解約や回収力の増強

AI要約

米銀大手シティグループはクレジットカードの返済延滞が増えている問題に対処するために、使用されていないクレジットカード口座を解約している。

シティグループのクレジットカード貸倒引当金は増加しており、新型コロナウイルスの影響もある。

大手銀行は、未使用口座の解約や与信枠の引き下げなどで問題を抱えた顧客に対応している。

(ブルームバーグ): 米銀大手シティグループはクレジットカードの返済延滞が増えている問題について、その対処として使用されていないクレジットカード口座を解約している。

損失を管理する取り組みとして、延滞債務の回収能力も増強したとマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は12日、記者団との電話会見で述べた。使用されていないカードについては利用可能額を減額するほか、信用スコアの高い顧客に新たな口座が行き渡るよう引き受けの厳格化も対策に含まれるという。

メイソン氏は「当行では顧客の支払い意思を注意深く観察している」と説明。「常に監視し管理している」と述べた。

顧客が請求書の支払いに苦労している兆候が見え始めた場合、シティグループのような大手銀行はその対応で共通の定石に従う傾向がある。早めの与信枠引き下げや未使用口座の解約など、銀行は問題を抱えた顧客にとって最後の貸し手にならないよう注意している。

国内最大級のクレジットカード発行会社であるシティの取り組みは、他の大手銀行が今後陥る事態の前兆となり得る。

シティグループのクレジットカード貸倒引当金は4-6月(第2四半期)に25億ドル(約3900億円)と、前年同期の18億ドルから増加。同行の米個人金融部門に関連した純信用損失19億3000万ドルがこれに含まれる。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)当時に政府から支給された資金を消費者が使い果たしたことが、現在の状況の背景にあるとメイソン氏は説明。消費者の状況悪化にもかかわらず、シティの米個人金融部門では収入が増加したという。

シティは特異な存在ではない。ウェルズ・ファーゴやJPモルガン・チェースもそれぞれのクレジットカード事業で、第2四半期の純償却額が前年同期を60%余り上回った。

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シティのジェーン・フレイザー最高経営責任者(CEO)は「個人消費は減速している」と指摘しつつ、同行の四半期決算には何ら心配な点はないと述べた。「基本的な数字が示す消費と成長エリアの多くは、裕福な顧客がもたらしている」と話した。