欧州、米国に続きT+1株取引に移行する準備-早ければ2027年に

AI要約

欧州金融市場は米国に続いて、1日での株取引決済システムに移行する準備を進めている。27年末までにT+1に切り替える予定で、欧州証券市場監督機構(ESMA)が目標を設定している。

米国とカナダは既に決済日をT+1に移行し、欧州も遅れていない。政治レベルでの決定はまだだが、技術的な準備は進められている。

世界中の金融機関が準備を進め、移行作業は順調に進んでいる。米国の取引不履行率は上昇したものの、比率は安定している。

(ブルームバーグ): 欧州金融市場は米国に続いて、1日での株取引決済システムに移行する準備を進めている。当局者らは早ければ2027年終盤の移行を検討している。

欧州証券市場監督機構(ESMA)の政策担当、アントニオ・オカーニャ・アルバレス氏によると、当局は27年10-12月(第4四半期)、28年1-3月(第1四半期)、28年第4四半期を、証券決済に要する時間を2日から1日に短縮する変更の目標としている。10日の公聴会で実施された調査では、回答者の約70%が27年に切り替えを行うよう求めた。

欧州は、複雑な市場インフラをスピードアップさせるために、長い立法プロセスが必要だ。米国やカナダは5月下旬に決済日を約定日(トレードデート)の翌営業日とする「T+1」システムに移行した。欧州連合(EU)の金融規制責任者であるメイリード・マクギネス欧州委員は、「問題はもはや、移行するかどうかではなく、いつ、どのように実現するかだ」と述べた。英国は27年末までにT+1に切り替える予定を示している。

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欧州委員会の政策担当、セバスチャン・フロバティン氏は10日の公聴会で「27年第4四半期は現実的だ」と述べた。

同氏によると、今のところ政治レベルでの決定はないが、水面下ではT+1への移行に伴う技術的なハードルをクリアするための作業が進められている。「欧州委が前進を決めれば、われわれはすぐにでも動き出すことができる」と同氏は述べた。

世界中の金融機関が米国のT+1移行に備え、スタッフの再配置、シフトの調整、業務フローの見直しを行った。こうした準備が功を奏し、移行は今のところ順調に進んでいるようだ。

欧州の挑戦

ESMAの公聴会での米国証券保管振替機構(DTCC e)の発表によると、米国の取引不履行率は移行後に2.30%とT+2の下での5月平均の2.01%から上昇したが、比率はおおむね安定しているという。