年金資金を運用するGPIF、2023年度の収益額は「プラス45兆円」に 246兆円の巨額運用資金のリバランス時の市場への影響に注意

AI要約

GPIFは2023年度に収益額45兆4153億円の黒字を達成しました。その運用成績と株式市場との関連に注目が集まっています。

昨年度と比較すると、今年度の成果は非常に高いことがわかります。相場の影響だけでなく、バランスの取れた運用が可能であることも示唆されています。

GPIFの運用成績や市場動向を踏まえて今後の注目点や注意点についても解説されています。

年金資金を運用するGPIF、2023年度の収益額は「プラス45兆円」に 246兆円の巨額運用資金のリバランス時の市場への影響に注意

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は7月5日に2023年度の運用実績を発表し、収益額は45兆4153億円の黒字となった。これまでの運用状況はどのようなものか。また、株式市場との関連はどのようなものか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが解説する。

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 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は7月5日に2023年度の運用実績を発表、収益額が45兆4153億円の黒字となりました。この数字にはどんな意味があるのでしょうか。なぜこれほどの利益が出たのか? そして、今後の注目点や注意点について解説します。

 2023年度(2023年4月~2024年3月)の運用結果は次のとおりです。

・収益率:+22.67%

・収益額:45兆4153億円

・運用資産額:245兆9815億円

 この結果を見て、皆さんはどう思われますか? 「今年はたまたま相場が良かっただけでは?」と思われた方もいるかもしれません。

 参考として昨年度(2022年4月~2023年3月)の運用結果も確認してみましょう。

・収益率:+1.5%

・収益額:2兆9536億円

・運用資産額:200兆1328億円

 昨年度と比較すると、今年度のパフォーマンスは非常に高いことがわかります。では、今年度の成果はたまたま相場が良かっただけなのでしょうか?

 2023年4月第1週から2024年3月最終週までの騰落率は以下のとおりです。

・日経平均株価:約+44.5%

・S&P500:約+27.2%

 一方で、2022年4月第1週から2023年3月最終週までの騰落率は以下のとおりです。

・日経平均株価:約+1.28%

・S&P500:約▲9.64%

 2023年度の結果が相場のおかげであることは理解できますが、2022年度の米国株式市場が▲10%近かったにもかかわらず、GPIFの収益がプラスである点については注目できるのではないでしょうか。

 これには、マーケットが不安定でもバランスの取れた運用ができている、という一定の安心感を持つことができると思います。