厚生年金「平均14万円」もピンキリの現代。格差は老後まで続くのか

AI要約

厚生年金の受給額には男女間で大きな格差があり、男性の受給額の方が平均して高い傾向にある。

男性の多くは15万円~20万円未満の年金を受け取っており、一方で女性は5万円~10万円未満の年金を受け取る割合が多い。

女性の場合、育児や介護などで労働市場から離れる期間が多く、年金加入期間が短くなる傾向があり、平均受給額が低くなっている。

厚生年金「平均14万円」もピンキリの現代。格差は老後まで続くのか

日本の老後の生活を支える厚生年金。今年は5年に1度の財政検証も行われ、大きな注目が集まっています。

厚生年金の平均受給額は約14万円と言われていますが、その額は一様ではなく、大きな格差が存在します。

というのも、厚生年金額は年金加入期間、そのときの年収などにより異なるからです。

今回は、厚生年金の受給額の分布を確認することで、受給額の格差の程度を探り、その対策について考えてみましょう。

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厚生労働省の「2022(令和4)年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の男女合わせた平均年金月額は「14万3973円(基礎年金月額含む)」です。

そのうち男性は「16万3875円(基礎年金月額含む)」、女性は「10万4878円(基礎年金月額含む)」となっており約6万円の差があります。

さらに詳しく、厚生年金の男女別の年金月額の分布を確認してみましょう。

●男性の年金受給額:1060万440人

 ・~5万円未満:8万7230人

 ・5万円~10万円未満:98万1745人

 ・10万円~15万円未満:265万4164人

 ・15万円~20万円未満:457万6536人

 ・20万円~25万円未満:207万3446人

 ・25万円~30万円未満:21万5155人

 ・30万円以上:1万2164人

男性の年金受取額で割合の最も多いのは「15万円~20万円未満」(457万6536人)、次いで「10万円~15万円未満」(265万4164人)です。

この2つで約7割を占めています。

一方、年金受取額が「25万円以上」は22万7319人と約2%にとどまっています。

●女性の年金受給額:539万6261人

 ・~5万円未満:24万2351人

 ・5万円~10万円未満:232万2733人

 ・10万円~15万円未満:233万1904人

 ・15万円~20万円未満:43万7200人

 ・20万円~25万円未満:5万8238人

 ・25万円~30万円未満:3509人

 ・30万円以上:326人

女性の年金受取額で割合の最も多いのは「5万円~10万円未満」(232万2733人)、次いで「10万円~15万円未満」(233万1904人)です。

この2つで約9割を占めています。

一方、年金受取額が「25万円以上」は3835人と極端に少なく0.07%という結果となりました。

女性は育児や介護などで労働市場から離れる期間があることが多く、正規雇用の機会も少ないため、年金加入期間が短くなりがちです。

その結果、男性と比べて平均受給額が低くなる傾向があります。

このように、老後に受け取る厚生年金の現状をみて、多くの人が老後の生活に対して不安を感じることでしょう。

次は、個人とし、自身の年金受給額を増やすためにできることをお話します。