軽井沢のビジネスチャンスはシリコンバレー以上!日本の地方に見る唯一無二の強みとは?

AI要約

日本のインバウンド需要が急増しており、観光業だけでなく半導体産業など他の分野でもビジネスチャンスが広がっている。

日本の教育水準の高さや円安、快適な生活環境などが半導体工場などの海外企業進出を促している。

地方にも新たなサービスが生まれ、外国人観光客のニーズに合ったビジネスが増加している。

軽井沢のビジネスチャンスはシリコンバレー以上!日本の地方に見る唯一無二の強みとは?

 円安の影響もあり、訪日外国人旅行が空前絶後の“沸騰”状態だ。京都などでは観光「公害」も叫ばれる中、インバウンド・ビジネスはどこへ向かうのか。マッキンゼー・アンド・カンパニーのシニアパートナーを経て、ペイパル日本のトップを務めるピーター・ケネバン氏が解説する。【前後編の後編】(ペイパル日本事業統括責任者 ピーター・ケネバン)

● 日本が半導体工場の建設地に選ばれる理由 教育水準が高いのに円安で人件費が高くない

 前編で伝えたように、インバウンド需要が大都市以外の地方にも広がっている。後編では、どうすればこの流れを最大限生かすことができるのかを考えてみたい。

 そもそも、地方のビジネスチャンスは観光産業だけではない。例えば、AI(人工知能)をはじめ成長分野に必要不可欠な半導体。今、半導体の工場を世界のどこに作るかと考えたときに、日本はその候補の上位に位置している。

 その理由を考えると、教育水準が高い一方で、円安などの影響で人件費が高くなくなってきていることが挙げられる。治安も良くインフラが整っているため、海外から移住したスタッフも快適に生活できる。高性能な半導体の製造に欠かせないきれいな水が、地方では豊富に手に入るのも、かなり大きなアドバンテージだ。

 半導体の受託生産で世界最大手の台湾TSMCが熊本県菊陽町に新工場を開設したが、まさに、こうした条件を満たした結果だろう。今後も、精密機器などの分野で海外企業が日本の地方に進出する可能性がある。

● 箱根でスポーツカーのレンタカー 訪日外国人の間でブームに

 2つ目はやはり、インバウンド需要だ。特に、多くの外国人が地方を訪れるようになったことで、これまでにない新たなサービスも生まれ始めている。

 例えば私の日本人の友人が、箱根(神奈川県)でスポーツカーのレンタカー屋を始めた。欧米ではカーレース観戦が好きな人が多いから、箱根の曲がりくねった楽しい山道をスポーツカーで走ってみたい人がいるだろうと思って会社をつくったら、これが大当たり。訪日外国人の間でブームになって、今かなり業績が伸びているそうだ。

 もちろん、箱根には温泉旅館や、伝統的な工芸品やお菓子を扱うお土産屋もそろっていて、そうした日本文化を体験することもできる。山道を日本の優れたスポーツカーで気持ちよく走り回って、その後に温泉につかるなんて、考えただけでも最高ではないか。いわば、アクティビティと文化の合わせ技だ。

 今、こうした新しいサービスが、どんどん生まれてきている。あえて課題を挙げるとすれば、訪日外国人のニーズをある程度わかっていて、企画にすることができる日本人がもっともっと必要だ。優れた人材は地方にもたくさんいるので、そうした人々をうまくマッチングする手助けができれば、と思っている。