姫路城に続け? 外国人観光客への二重価格が世界標準なわけ 「土足で本堂」に対応するコストは

AI要約

姫路城の入城料に関する外国人旅行者向けの値上げが議論を呼んでおり、他の観光地でも同様の検討が進んでいる。姫路市長の発言や他の観光地の値上げ事例を紹介しながら、外国人観光客が増加する中で管理費用の増加や修繕費用の高騰などが背景にあることが示唆されている。

円覚寺や日光東照宮など、他の観光地でも入場料の値上げが進んでいる。観光客の増加に伴い管理や修繕にかかる費用が増えており、値上げはその対策の一環として行われている。値上げは外国人だけでなく、日本人にも適応されている。

値上げに対する外国人観光客の反応についても触れられており、訪日外国人数の増加と二重価格の議論が続いている状況が示されている。

姫路城に続け? 外国人観光客への二重価格が世界標準なわけ 「土足で本堂」に対応するコストは

 世界遺産「姫路城」(兵庫県姫路市)の入城料について、外国人旅行者は日本人の4倍の値段にすることを検討している、とした市長の発言が議論を呼んでいる。「二重価格」には賛否の声があるが、海外では当たり前という指摘もある。ほかの観光地はどうなのだろうか?浅草、鎌倉などの観光名所でも聞いてみた。

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  その美しさから白鷺城ともいわれる姫路城。世界遺産でもあり、日本を訪れる外国人観光客にも人気だ。昨年度、姫路城に訪れた約148万人のうち、外国人は過去最高の約45万人にのぼった(姫路市ホームページ)。

  こうした状況があるなかで、姫路市の清元秀泰市長は、今月に同市内であった国際会議で、入城料の値上げに言及した。城の補修やオーバーツーリズム(観光公害)対策、石垣の点検や瓦などの職人育成に必要な経費などに充てるための値上げという

  現在の姫路城の入城料は、18歳以上は一律1000円。これについて清元市長は、「外国の人は30ドル、市民は5ドルくらいにしたい」との考えを示した。30ドルは約4倍の料金になる計算だ。

■円覚寺では「座禅体験の値上げを検討」

 清元市長の発言を受け、料金の値上げを検討している寺院があった。

 鎌倉五山の一つで、観光名所としても知られる円覚寺(神奈川県鎌倉市)だ。寺の担当者は、「まだ検討中というか、具体的には何も決まっていない状態」と前置きしたうえで、「観光客に人気の座禅体験(大人1000円)などの値段を上げる話が出ています」と話す。

「寺を訪れてくれる外国人観光客はとても増えました。朝から絶えず人が来ます。コロナ前と比べ物にならないくらいにぎわっています。ただ、人が来れば管理の費用はかさみます。特に、物価高によって材料の値段が高騰したことで修繕費などが重くのしかかっているんです。もちろん入場料やお守りなどのお土産品でお金はいただいておりますが、追いついていないのが現状です」(担当者)

 今回話に出ている値上げについては、「外国人だから」という理由ではないという。

「外国人だけ値上げする、と考えているわけではありません。しかし、来てくれる人が増えるほど管理は大変になり、費用もかさみます。世界遺産の姫路城さんが真剣に検討しているように、我々も改めて検討していかなければ、と思いました」(同)

 日光東照宮(栃木県)や世界遺産の平泉(岩手県)などは、今年4月から入場料の一部について、200円~300円程度の値上げを実施した。理由は「人件費や修繕費用の高騰」としている。

 また、大阪府では、府内に宿泊する訪日外国人に一定額の負担を求める「徴収金」制度の創設を検討している。大阪万博の始まる2025年4月からのスタートを目指す。吉村洋文知事は、オーバーツーリズム対策や街の美化などのためとしており、姫路城の入城料の値上げについても「賛成」との考えを述べている。

■外国人観光客も驚いた日本の価格

 円安を背景にしたインバウンド増で、今年3月と4月の訪日外国人数は、2カ月連続で過去最高の300万人を超えた(JNTO)。日本を訪れる外国人観光客は、二重価格をどう見ているのか。

 浅草を観光で訪れていたドイツ人男性(26)は、こう話す。