なぜ突然、“電気足りない”連続コール?「エネルギー基本計画」の不可思議

AI要約

5月の中旬、エネルギー政策を決めるための会議が開催されました。GX2040ビジョン作成と2035年以降のエネルギー基本計画議論が進められています。

現在のエネルギー基本計画では2030年度の電源構成に再エネ36~38%、原発20~22%が設定されていますが、達成が厳しいとの声が出ています。

2030年度の再エネ達成が難しい状況下で、政府の脱炭素社会への政策が注目されています。

なぜ突然、“電気足りない”連続コール?「エネルギー基本計画」の不可思議

 5月の中旬、中期的なエネルギー政策を決めるための会議が立て続けに開かれた。13日には今年初となる政府のGX実行会議が開かれ、「GX2040ビジョン」を年内にまとめることとした。また、15日には、2035年度以降の新しい電源構成を示す「第7次エネルギー基本計画」の議論も始まった。議論内容と課題について、突然強調され始めた、電力需要の“急増”予測を交えて解説したい。

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 そもそもGXとは、グリーントランスフォーメーションの略で、脱炭素社会への移行を意味する。日本は、特に産業立地や産業構造の転換など、脱炭素の経済への影響や効果などの政策を重視している。

 下図は会議の流れや今後のスケジュールなどをまとめたものである(図2)。5月13日に全体会議としてGX実行会議が開かれ、2手に枝分かれしている。

 左の青枠「GX2040リーダーズパネル(仮称)」に、GX産業立地、GX産業構造、GX市場創造と経済項目が並ぶ。一方、右の15日の赤枠(総合資源エネルギー調査会基本政策分科会)で基本計画の論議がスタートしたことが示されている。

 エネルギー基本計画とは将来の電源構成などを設定するもの。現状の第6次エネルギー基本計画は、2021年10月に閣議決定され、次は7次の計画である。

 現計画では、2030年度の電源構成を、再エネが36~38%、原発が20~22%としている。これは、CO2などの温暖化効果ガスの削減目標=2030年度に2013年度比46%減を達成するために設計されている(図1)。

 ISEP(環境エネルギー政策研究所)が6月初旬に速報値として発表した2023年の日本の電源構成では、再エネが25.7%と初めて全体の1/4を超えた。一方、化石燃料による発電はやや減ったものの66.6%と2/3を保っている。2030年度の再エネ36~38%達成はそれでも厳しいという声が聞こえる。政府がクリーンな電源と強調する原発はいまだ7.7%で、化石燃料低減の目標41%程度の実現可能性は低い。