停電でも電気が復旧しなくなる…「技術者不足」の悲惨すぎる未来

AI要約

将来の人口減少についての懸念と、それに対応するための具体的な方策が述べられた。

政府の原子力政策転換についての背景と具体的な対応策が明らかにされた。

エネルギー安定供給と脱炭素化の重要性が強調され、原子力の活用に対する国民の不信感とのジレンマが語られた。

停電でも電気が復旧しなくなる…「技術者不足」の悲惨すぎる未来

 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。

 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。

 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。

 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。

 政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議が、脱炭素社会の実現に向けた基本方針をまとめ、原子力発電所の建て替えや原則40年としてきた運転期間の延長を打ち出した。

 政府は東日本大震災を受けて原発の新増設や建て替えを「想定しない」としてきていたが、基本方針では「将来にわたって持続的に原子力を活用する」と明記しており、百八十度の政策転換である。

 ロシアのウクライナ侵攻によって世界はなりふり構わぬエネルギー獲得競争に突入した。もはや日本も「きれい事」を言っていられなくなったということだ。

 火力発電所は老朽化して休止・停止が相次ぎ、ロシアからの液化天然ガス(LNG)の供給もいつ途絶するか分からない情勢にある。昨夏に続き、今冬も電力不足に伴う大停電の不安がぬぐえない。

 他方、異常気象による自然災害は頻発しており、地球温暖化対策も待ったなしだ。脱炭素とエネルギーの安定供給を同時に成立させるには原子力への回帰しかないという判断である。

 原発に対する国民の不信感は根強いが、電気代などの相次ぐ値上げは企業活動や国民生活を直撃しており、「拙速」や「強引」との批判を覚悟の上で原発の積極活用へと大きく舵を切ったということであろう。

 言うまでもなく、エネルギーは社会生活の基盤中の基盤である。多くの機器が電化された現在、とりわけ電気の安定供給は国家としての最重要課題である。切羽詰まった日本に発電方法を選んでいる余裕などないというのが現実だ。