「日本の未来は暗い」を疑え。コクヨ・バンダイに学ぶ“既存の枠”を壊す発想

AI要約

日本の経済的競争力が落ち続けているが、悲観的になる必要はない。

日本は経済面では中流国になったが、未来は活性化する可能性がある。

日本の長寿国であり、働き方が柔軟化していることから、将来は健康で自由な時間を楽しむ人が増えると見込まれる。

「日本の未来は暗い」を疑え。コクヨ・バンダイに学ぶ“既存の枠”を壊す発想

少子高齢化や円安、物価の上昇に伴わない賃金──。日本の経済的競争力が落ち続けている。

だが、市場調査会社・矢野経済研究所で研究員をしている筆者は、悲観的になることはないと考えている。

見方を変えれば、日本は「ユルくて幸せな国」とさえ言えるだろう。

日本の1人当たりのGDPは、2022年時点で世界31位。経年的には順位を下げ続けている。もはや日本は、経済面では貧しすぎないが、豊かではない中流国になった。

未婚者が増え、少子高齢化も進む。先日、厚生労働省が発表した2023年の合計特殊出生率は、過去最低の1.20だった。

結婚しない男女が増えている。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、2020年の生涯未婚率(50歳時の未婚割合)は男性28.25%、女性17.81%。20年前と比較して2倍以上に増えた。

今後は労働人口の減少や国際競争力の低下がより顕著になることで、日本の経済的地位はさらに低下していくだろう。

ここまで聞くと、日本の未来は暗いように見える。ただ、筆者は、考え方を変えれば経済は活性化する可能性があると思っている。

これからの日本にとって鍵になるのは、「健康長寿国」「ゆるい仕事」「自分のお金を好きに使える」という点だ。

日本は世界有数の長寿国でもある。2022年には、平均寿命が世界一位になった。今後も寿命は世界トップ水準を維持していくと予想される。

働き方もかつてよりは「ユルく」なった。厚生労働省のデータによると、2019年の年間労働時間は1733時間、年間平均休日は113.7日だった。2021年には年間労働時間は1718時間、年間平均休日は115.3日で、労働時間が微減し、余暇が長くなっている。

先の少子化や未婚率の増加も踏まえれば、今後、「ビジネス上の慣習から解き放たれ、豊富な時間と少ないけれども自由に使えるお金がある消費者」は増えていくと予想される。決して裕福ではないかもしれないが、ゆるく働きながら趣味の時間を楽しむ人が増えるだろう。

ゆるく働いて、お金も自由に使えて、長生きできる──。考え方によっては、こんなに幸せな国はないだろう。