NTTドコモ、銀行業への参入に意欲…経済圏強化で「携帯利用者の囲い込み」にも期待

AI要約

NTTドコモが銀行業への参入を検討しており、前進の方針を示している。

主力の携帯事業の成長が鈍化する中、金融事業を強化し、既存のサービスと結びつけることで競争力を高めようとしている。

競合他社に比べて銀行を持たないドコモが金融サービスに焦点を当てている背景から、今後の展開が注目される。

 NTTドコモが、銀行業への参入に意欲を見せている。携帯電話大手4社で唯一、グループ内に銀行がないドコモは、金融事業の「出遅れ」が指摘されてきた。同業他社が強化に取り組む金融事業で、ドコモは銀行の機能を「必要なピース」と位置づけており、買収なども含めた検討を進める考えだ。

 「(銀行業への参入を)どう実現するか、幾つか選択肢がある。今、様々な検討を進めている」

 今月就任したドコモの前田義晃社長は18日の記者会見で、銀行業へ参入する方針を示した。金融事業について「非通信領域における事業の推進役になっている」と説明し、銀行は「大変重要な機能だと思っている」と強調した。

 主力の携帯事業が低料金プランの普及や人口減少により伸び悩むなか、ドコモは金融事業への取り組みを強化している。今年1月にはインターネット証券大手のマネックス証券、3月にはオリックス傘下の個人向けローン会社のオリックス・クレジットをそれぞれ子会社化した。

 グループ内に銀行があれば、投資やローン、スマートフォン決済「d払い」による決済など様々な金融サービスを結びつけることが可能だ。ドコモが力を入れる共通ポイント「dポイント」による経済圏の強化にもなり、「携帯利用者の囲い込みにもつながる」(関係者)と期待も大きい。

 一方、KDDIとソフトバンク、楽天モバイルの携帯大手3社は、いずれもグループ内に銀行があり、金融と通信のサービスを組み合わせた施策を打ち出している。

 KDDIは2008年、三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)と共同出資で、「じぶん銀行」(現auじぶん銀行)を設立した。銀行を持つ利点についてKDDIは「住宅ローンなどを通じ、携帯利用者と長期の接点を持てるのが強み」と説明する。

 昨年9月には、預金金利などが優遇される携帯の新料金プランを打ち出した。新プランの契約者数は70万人超(今年3月末時点)と好調で、解約率も改善したとしている。