日本型ライドシェア サービス開始から2ヵ月 乗って分かった「良い点」「悪い点」

AI要約

東京など一部地域で解禁された日本型ライドシェアの現状を紹介。

ライドシェアドライバーはパートタイマーで、高級車が多いことが特徴。

ライドシェアの課題や将来の展望についての懸念が示されている。

日本型ライドシェア サービス開始から2ヵ月 乗って分かった「良い点」「悪い点」

タクシー不足の解消を目的に東京など一部地域で、「日本型ライドシェア」が解禁されて2ヵ月が経った。

米国などのライドシェアドライバーが個人事業主であるのに対し、「日本型」はタクシー会社が運行管理するパートタイマー的なドライバー。当初はほとんど車両が捕まらなかったが、ようやく街中で少しずつ見かけるようになってきた。

そこで、国内で唯一ライドシェアの車両を選んで呼べる「Uber」アプリを利用し、実際に乗ってみた。

江東区の某駅付近でマッチングすると、レクサスのSUVが3分ほどで現れた。運転手はスポーツクラブの経営者である高野さん(仮名・30代)。少し緊張した面様で車を走らせはじめた。

「今まで乗せたお客さん全員が外国の方で、実は日本人を乗せるのは初めてなんです。一回の平均売り上げは1万2000円ほど。経費を引くと時給は2500円程度でしょうか。週3勤務で、月収は6万~7万円くらいです」

ライドシェアを提供する事業者に取材すると、ほぼ共通していたのが、「高級車が多い」ということだ。ベンツやBMW、ポルシェも珍しくないという。車両や労働条件の制限から、自営業者や経営者がドライバーを務める比率が高いためだろう。なぜ、高野さんはライドシェアで働きはじめたのか。

「私の場合、仕事が夕方からで、朝の3時間を有効活用したいと思ったのがキッカケです。短時間で稼げて刺激がある副業を探している中で見つけました」

だが、今後も続けるかは未定だという。

「車の維持費と売り上げを考えると、正直『思っていたよりも渋い』という感覚なので要検討ですね」

タクシードライバーたちとはまた一味違う会話とレクサスの乗り心地を堪能しつつ、15㎞ほど先の目的地に到着。料金は約7000円と、タクシーと同じ水準だった。

目新しさを感じる一方で、課題もある。ロイヤルリムジン社の顧問で、ライドシェアの規制改革推進会議にも出席する堀江一生氏(60)が問題提起する。

「パートタイム型の雇用では、人材獲得に限界がある。乗務員の働く幅が広がる業務委託型を認めない限り、国内ではなかなか浸透しないでしょう」

ライドシェアの真価が問われるのは、まだまだ先となりそうだ。

『FRIDAY』2024年6月28日号より

取材・文・撮影:栗田シメイ(ノンフィクションライター)