アニサキス、AIが見つけます 画像を数枚学習→ベテラン検査員級に

AI要約

アニサキスという寄生虫が魚介類に潜んでおり、食中毒の要因として深刻化している。

人工知能を活用してアニサキスを検知する手法が登場し、目視では難しいアニサキスの除去を支援する。

AIによる検査技術の開発により、生魚の画像数枚を学習させることで、ベテラン検査員並みの精度で寄生虫を検知することが可能となっている。

アニサキス、AIが見つけます 画像を数枚学習→ベテラン検査員級に

 サバやサンマなどの魚介類の体内に潜み、生きたまま人の体の中に入ると激しい痛みを引き起こす寄生虫・アニサキス。食中毒の要因の5割近くを占めるほど深刻化している。防止には目視による除去が一般的だが、人工知能(AI)を活用して検知する手法が登場した。

 ◇そもそも、アニサキスとは

 魚に寄生しているアニサキスは幼虫で、長さ2~3センチぐらいの白っぽい糸状。魚を生で食べて生きたアニサキスが体内に入ると、胃や腸の粘膜に刺さり、数時間から数日で激しい痛みや嘔吐(おうと)などの症状を引き起こす。厚生労働省などは加熱するか、氷点下20度で24時間以上冷凍するよう勧めている。

 目視で取り除こうとしても完全には難しい。厚労省の統計によると、アニサキスによる食中毒は届け出があっただけで2023年に432件あり、10年前と比べて約5倍に。22年には566件に達した。

 輸送技術の向上により、全国の魚を冷凍しないまま味わえるようになり、生きたアニサキスを口にするケースも増えたと考えられている。

 ◇画像数枚を学習すればベテラン検査員並みに

 そこで開発されたのがAIにアニサキスを検知させる技術だ。形状や大きさが異なったり、微細だったりすると目視では難しかったが、AIにアニサキスが付着している生魚の画像数枚を学習させると、ベテラン検査員のノウハウを身に付けられるという。

 人とは異なり、経験による精度のばらつきもない。画面にアニサキスが潜む部分が目立つよう表示され、人の手で取り除く。

 システムはMENOU(東京都中央区)、アプライド(福岡市)、アイエムパック(札幌市)が協力して開発。北海道根室市で海産物販売を手がけるカネコメ高岡商店で12月から稼働する予定だ。

 カネコメ高岡商店の高岡義政専務は「手作業による検査には非常に神経を使い、業務効率化や人材不足の課題も抱えている。将来的には検査ラインの自動化を目指し、今まで以上に安心・安全な商品を提供したい」と期待する。【嶋田夕子】