埼玉発「幻のポテトチップ」、大手2社に「できたて」で勝負…皮むきから袋詰めまでわずか20分

AI要約

埼玉県八潮市の工場で製造される「できたてポテトチップ」は、大手メーカーとの違いを生かし、人気を集めている。

社長が経営資源をポテトチップに集中し、鮮度や地域の原料にこだわり、季節ごとに味を変えて提供している。

全国のご当地の味を取り入れたポテトチップも展開し、10品目までのラインアップを揃えている。

 埼玉県八潮市の工場で製造した当日に出荷し、翌日には消費者の手元に届ける「できたてポテトチップ」が看板商品です。

 大手は生産開始から店頭に並ぶまで1~2週間はかかると言われており、鮮度は段違い。1日約2万袋を出荷していますが、すぐ売り切れるため「幻のポテトチップ」と言われるほど人気を集めています。

 当社は以前、瓦煎餅やえびせんなども販売する和菓子メーカーでした。2000年に社長に就任した私は、製造機械が古びておらず、将来も販売を続けられそうなポテトチップ一本に経営資源を集中することを決断しました。

 ポテトチップ業界は、カルビー(東京都千代田区)と湖池屋(東京都板橋区)の大手2社が市場の9割を握る寡占市場です。大量生産・大量販売で価格競争を仕掛ける大手に、真っ向勝負を挑んでもかないません。先代社長の父が「菊水堂は、ゲリラ戦でなければ勝てない」と言っていたのを思い出し、「できたて」で勝負をかけることを決めました。

 私たちの工場では、ジャガイモの皮むき、スライス、フライ、味付け、袋詰めまでの全工程を約20分で行います。鮮度を生かし、ジャガイモ本来の味と香りを楽しめるよう、添加物やうま味調味料を使わず、薄塩で味付けしています。

 最高の「できたて」を味わってもらうため、季節ごとに原料のジャガイモを変えているのもこだわりです。加工用の品種「きたひめ」などを、夏場は茨城県などの関東から、それ以外の季節は主に北海道から取り寄せています。

 このため、注文する時期によってポテトチップの味は異なります。これも、菊水堂らしさだと思っています。

 「できたて」に並ぶもう一つの柱に育てようと、全国の「ご当地の味」を使ったポテトチップの開発にも力を入れています。昨年、埼玉の「肉汁うどん味」を発売したほか、今月末には沖縄の「琉球青のり」、7月には徳島の「わかめ味うどん」を商品化し、ご当地商品のラインアップが10品目になる見通しです。