「最後の砦、手術室の半分は閉鎖」…助かる患者も助からない[韓国医療空白半年](1)

AI要約

韓国では専攻医離脱による医療空白が深刻化しており、手術室の閉鎖や移植手術の減少などが問題となっている。

特に麻酔科専攻医の不足が手術室の機能を妨げており、移植待機中の患者が亡くなる事態も発生している。

臓器移植の減少により、国内の医療危機がさらに深刻化しており、複数の移植医療機関で手術が難しくなっている。

「最後の砦、手術室の半分は閉鎖」…助かる患者も助からない[韓国医療空白半年](1)

韓国では専攻医離脱による医療空白が始まって6カ月と1週間過ぎた。専攻医1万3531人のうち1186人(8.8%、23日基準)だけが勤務している。医療陣の40%を占めていた専攻医空白は限界点を過ぎてあちこちで危機兆候が現れている。1次津波は救急室を襲った。だが、これよりもさらに深刻なのが手術室だ。

救急室は医療スタッフの悲鳴の中でも重症患者のほとんどは診療している。手術室は違う。専攻医離脱後、手術室の40~50%が閉鎖された。最も大きな理由は麻酔科専攻医の離脱だ。麻酔科医師は手術室の指揮者だ。首都圏のある圏域救急センターの教授は「専攻医4人が手術室1つずつ入り、教授1人が責任者として麻酔を担当していたが、今は専攻医がいないため教授が1つの手術室にしか入れない」と話す。手術室が減った1次理由がここにある。

韓国国内の肝移植の35~40%を担当するソウル峨山(アサン)病院は医大増員問題の余波で麻酔科専任医(フェロー)・専攻医が全員出ていった。手術補助のようなものは診療支援看護師(PA)が引き受けるが、麻酔分野は不可能だ。肝移植件数が昨年2~8月276件から今年2月~今月27日168件に減った。39%も減少したことになる。1週間に9~10件から5~6件に減った。来年2月まで移植待機者が並んでいた。待機が医療危機前の3カ月から6カ月へと2倍になった。

ソウル峨山病院肝移植・肝胆道外科のイ・スンギュ碩座教授は「肝移植は適切な時点に手術することが大変重要だ。人工肝やECMO(体外式膜型人工肺)のような先端機器もない。唯一の方法が移植だが、手術待機が長期化して移植機会を逃して亡くなる事例が続いている」と話した。病院側は2~8月に少なくとも10人以上が待機中に亡くなったと推定している。

この病院だけではない。全南(チョンナム)大病院関係者は「移植手術はさまざまな診療科の医療スタッフが10人以上投入される大きな手術だ。そのうえ麻酔科の人材不足などが重なって現在の非常診療体系では手術がさらに難しくなった」と話した。

27日、国立臓器組織血液管理院によると、全国の移植医療機関の肝・腎臓・心臓・肺・すい臓など5つの臓器の移植件数(脳死・生体基準)が昨年2~6月1796件から今年同期間1270件に減った。これらの臓器は生命に直結する。行政安全部・国立臓器組織血液管理院が国民の力の徐明玉(ソ・ミョンオク)議員室に提出した資料によると、移植手術が減って移植待機中の2~5月に死亡した人が1013人にのぼる。昨年同期(942人)に比べて71人(7.5%)増えた。イ教授は「助けることができたはずの人だったのに…」と話す。

臓器移植は主に脳死者が寄贈した大切な臓器が使われる。今年2~5月の脳死推定者は959人で、昨年同期(946人)よりもむしろ増えた。それでも医療危機のため手術が減って移植手術が逆方向に動いた。