「支出が多くて引退なんて夢のまた夢」 韓国新老年の就職、10年間で2倍に迫る

AI要約

韓国ベビーブーマー世代への経済的課題「ダブルケア」が深刻化している。引退や引退前の世代は支出が増加し、収入が減少する傾向にある。

高齢者の就業率が上昇しており、次世代への負担が増加している。この状況下で子供世代は再び親世代を支援する必要があり、老後の準備が難しくなるという悪循環が生じている。

日本に続き、韓国でもダブルケアの問題が拡大している。青年の社会進出を支援し、カンガルー族の増加を抑制することが必要だ。

「ダブルケア」は職場から引退あるいは引退を控えた韓国ベビーブーマー世代(1955~1963年生まれ)に経済的災難として迫っている。25日、韓国統計庁マイクロデータの分析によると、2019年1-3月期に比べて今年1-3月期には55~69歳世帯主の月平均世代間移転所得は減少し(21万1000ウォン→19万3000ウォン:約2万2900円→約2万940円)、世代間移転支出は増加した(29万3000ウォン→33万ウォン:約3万1800円→3万5800円)した。世代間移転所得・支出はお小遣など世帯内で授受のあるお金だ。異なる世代から受け取るお金は次第に減っているが、子女など異なる世代を支援するためにお金をより多く使っているという意味だ。

◇高齢就職に駆り立てるダブルケア

依然として支出が多いため、引退以降も働き口を転々とする高齢層は増加する傾向にある。先月60歳以上の就業者は666万7000人で、2014年同月(362万1000人)に比べて84.1%増えた。高齢就業者が増加の一途をたどり、10年間に2倍程増えた。同じ期間60歳以上の経済活動参加率も41.6%から48.1%に大幅に上昇した。

問題は次世代への負担移転だ。ダブルケアによる支出が増えて老後の準備余力が落ちるほかないためだ。主に20~30代であるベビーブーマー世代の子女の立場では、今後両親を再び扶養しなければならない悪循環につながることができる。二重ケアの連鎖が断ち切れないのに子女世代を押さえ付ける現象は韓国よりも先に高齢化と成長鈍化を体験した日本ではすでに現実として現れた。

◇日本に続いて韓国もダブルケアの負担拡張

日本の毎日新聞は今年初めの特集記事を通じて「晩婚・晩産化もダブルケアが広がる背景になっている」としながら「ダブルケアは『現代日本の縮図』 立ちはだかる縦割り行政」と指摘した。特に同紙は日本で子育てと介護を同時に行う30~40代女性が子女の出産を断念するケースが続出しているとし、「ダブルケア」を新たな少子化要因として注目した。

韓国でもダブルケアとそれによって老後準備が困難になるケースはすでに新老年層を越えて中壮年層に拡大している。韓国保健社会研究院が発刊した「中年の二重課題負担と社会不安認識」という論文によると、「家族の世話をする負担において、老後準備もしていない人の比率はX世代(1975年~77年生まれ)が18.1%で、1次ベビーブーム世代(9.6%)よりも多く現れた」とした。最近では親世代のダブルケアを見て育ってきた3040世代が扶養の負担を減らすために事前に家族計画を縮小するという分析も出ている。

忠南(チュンナム)大経済学科のチョン・セウン教授は「ベビーブーム世代は韓国社会で貧しい両親と経済成長を享受することができなかった子女の間に挟まった世代」とし「相当数が両親の扶養義務を負っているだけでなく、子女教育にも多くの投資をした世代だ。二重扶養負担が増えて老後の準備は不足している」と話した。続いて「結局彼らが仕事ができなくなれば扶養負担が子女に回ることになり、出産回避などにつながるだろう」と付け加えた。

◇青年の社会進出支援…悪循環を断ち切らなくては

まずは青年層の早期社会進出をサポートするための支援を急ぐべきだという指摘がある。ダブルケアの主な原因が子女世代の社会進出の遅れとカンガルー族(日本のパラサイト・シングルに該当)の拡散のためだ。先月、20代と30代の休職人口は70万4000人で、1年前(63万6000人)に比べて6万8000人(10.8%)増加した。20~30代の休職人口が70万人を超えたのは関連統計を集計した2003年以降、初めてだ。

韓国雇用情報院によると、30~34歳のうち親元暮らしをしているカンガルー族の比重は2012年45.9%から2020年には53.1%へ、7.2%ポイント増加した。韓国雇用情報院のファン・グァンフン副研究委員は「カンガルー族の増加傾向を30代初中盤が主導し、30代中後半以降まで拡大する可能性がある」とし「カンガルー族の相当数は社会脆弱階層に転落する可能性が高く、両親の老後準備に悪影響を与える場合がある」と話した。続いて「青年雇用改善を通じて良質の働き口を提供して経済的独立が可能な環境を用意しなければならない」と付け加えた。

平均寿命の増加で超高齢人口も継続して増えることから、高齢者負担のケアを減らす対策の必要性も大きくなっている。梨花(イファ)女子大社会福祉学科のチョン・スンドゥル教授は「高齢者ケアの社会的責任が強化されてはいるが、その家族が正常な社会生活が可能な水準まで拡大しなければならない」とし「昨年認知症患者数が101万人(中央認知症センター)を超えるなど集中ケアが必要な高齢層が増えていることから、看病支援強化が重要な時点」と話した。