80代の親と30代の子どもの両方扶養する…韓国の若い高齢者、15%が「ダブルケア」(2)

AI要約

若者の就業環境の悪化が親世代の老後資金を支える若者に負担をかけ、中高年層にも広がっているダブルケアの現状。

老後資金の不足から親が子どもに依存し、若者の雇用不安が増加している厳しい現実。

解決策として、社会的支援の必要性が示唆され、個人だけでなくシステム全体の改善が求められている。

親世代の経済力が落ちているため彼らの老後生活費もそろそろリタイアに差しかかる新高齢層が負担し続けなければならない。2020年の統計庁社会調査によると、親の生活費を「親自ら解決する」と答えた65~69歳の割合は30.4%にすぎなかった。これに対しこの年代で親の生活費を「子どもが解決する」と答えた割合は60.3%で圧倒的多数だった。

◇公的年金不備、雇用悪化に「ダブルケア拡大するだろう」

現在60代である新高齢層に集中した「ワンオペケア」の負担は今後他の年齢層にも続く可能性が高い。過去の親世代よりは良い方だが公的年金で老後準備をすべてまかなえない状況で子どもが親の老後資金の一部の責任を負う状況は続くほかないからだ。ここに雇用環境悪化で青年の社会進出が遅れ、遅く就職しても低賃金と雇用不安に苦しめられる事例が増加している点も問題だ。

専業主婦として暮らしてきたキムさん(67)は夫の退職金とこれまで貯めた資金の一部を足して息子とともに小さなビアホールをオープンした。40代半ばを超えた息子が就職できず、商売で活路を開くために老後資金をすべてはたいたのだ。まだ生きている老母と姑にかかる扶養費も負担となる。キムさんは「ひとまず私が厨房を見て、息子がサービングなどホールを担当するが、安定すれば息子1人でできるように譲るつもり。老後に使う資金を事実上全額投資するもので心配になるが、このままでは方法がなさそうで挑戦を選択した」と話した。

韓国統計庁が5月に明らかにしたところによると、就業経験がある青年376万5000人のうち最初の雇用が1年以下の契約職賃金労働者だった人は31.4%の118万1000人で、関連統計集計後最大を記録した。アルバイトのように契約期間を定めていない一時的賃金労働者数まで考慮すれば地位が不安な青年雇用数はさらに増える。雇用環境が悪化しているため、最初から求職を断念する青年も増加している。先月の20代と30代の「休んでいる」人口は70万4000人で、1年前の63万6000人より10.8%の6万8000人増加した。20~30代の休んでいる人口が70万人を超えたのは関連統計を集計し始めた2003年以降で初めてだ。彼らのこうした不安な経済的な地位は結局彼らの親世代が老後資金で扶養して埋め合わせるほかない。

ダブルケアとそれによる老後準備の困難さはすでに新高齢層から下の世代である中高年層に拡散する兆しだ。韓国保健社会研究院がまとめた論文「中年の二重課業負担と社会不安認識」によると、家族の世話をする負担があり老後準備もしない人の割合は1975年~77年生まれのX世代が18.1%で、第1次ベビーブーム世代の9.6%より多く現れた。

ソウル研究院のピョン・グムソン研究委員は「現在の新高齢層は教育を通じて成功した経験があるため子ども世代の教育にも多く投資した。子ども世代は過去とは違い大学を卒業しても良い職場を得られる確率が低くなり、結果的にダブルケア負担を背負うことになった。家族の扶養負担は増えるのに中高年層のリタイア時期はますます早くなっており、これに向けた社会的支援が必要と思われる」とした。