乳児の母に睡眠を「産後ケアホテル」 出産のご褒美、24時間プロがお世話 近ごろ都に流行るもの

AI要約

産後ケアホテルが広がっており、母子を24時間態勢で世話する施設がリゾートや高級ホテル内で人気を集めている。

助産師や看護師によるサポートを受けながら、母親は心身を回復させるために滞在することができる。

産後ケア滞在中には家族が集まり、特別なお祝いを行うなど、利便性を生かした利用が広がっている。

乳児の母に睡眠を「産後ケアホテル」 出産のご褒美、24時間プロがお世話 近ごろ都に流行るもの

数時間ごとの授乳などで睡眠不足になりがちな出産間もない母親を寝かせ、助産師らが24時間態勢で母子を世話して心身を回復させる「産後ケアホテル」が広がっている。目立つのがリゾート立地や高級ホテル内の施設だ。出費もかさむが、今や出産は人生で何回あるかというくらいの慶事。思い出に残るステイは記念日やご褒美消費の側面も強い。中には「宿泊券」がふるさと納税の返礼品として人気のホテルもある。

■ふるさと納税返礼品にも

東京メトロ半蔵門線水天宮駅直結のロイヤルパークホテル。都心を一望する6室で産後ケア「ユアリト」が行われている。助産師、看護師、保育士が夜間も通しで乳児を預かり、乳房ケアなど必要な知識を伝えて母親の不安を和らげる。

生後1カ月の長女と前日にチェックインした高橋亜友美さん(38)は、「広いベッドで横になり、久々にゆっくりご飯を食べられた。子供と離れるのは悪いな、との思いもあったけれど常時モニターで様子を確認でき、必要な時はすぐに連れてきてもらえる。産後の痛みと忙しさで、睡眠もお風呂もままならない生活だった。今は主人が海外出張中で頼れず、ホテルステイはご褒美ですね」。

アパレル会社を経営し、取材日の午後は子供を預けたまま仕事に向かった。24時間の託児込みで、料金は3泊4日で22万5千円(食事別)など。「高いけれど、プロのサービスと人件費を考えれば納得できる」

ユアリトは三菱地所の新規事業だ。提案者の内田沙紀さん(33)は3年前の初産で産後ケアの重要性を痛感。「コロナ禍も重なって親のサポートも受けられない中、産後鬱に近い状態になった。一番の要因は睡眠不足。人格にも影響していたと思う」と振り返る。「会社員には時間外労働はここまでという法律で守られた過労死ラインがあるのに、産後の母親はそれを超えても救ってもらえないのかと苦しかった」

育休明け、先輩男性社員2人と事業提案。昨年の試験運用で27組が利用する手応えを得て今年7月、本格的にスタートした。産後ケア滞在中に祖父母も集まり「お食い初め」を開く家族など、ホテルの利便性を生かした利用が目立つ。

令和3年末にオープンした神奈川県のマームガーデンリゾート葉山は、1棟全47室、年間2千組超が利用する日本最大の産後ケアホテルだ。昨年から地元、横須賀市のふるさと納税に宿泊券が採用され、4組に1組がこれを活用している。