中ロ、暫定政権承認へ布石か 大使派遣、「テロ」指定解除準備 タリバン復権3年・アフガン

AI要約

アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが復権して3年が経過した。暫定政権の承認に慎重な態度を取る国々もある中、一部の国々は正式承認に近づいている。国際社会では、特に女性の教育や就労に関する懸念が強調されている。

中国はアフガンとの関係を強化し、豊富な天然資源の共同開発や過激派の防止を狙っている。一方、ロシアも過激派組織との関係を考慮し、タリバンへの接近を模索している。それぞれの国の動向がアフガン情勢に影響を与えている。

日本は暫定政権を正式承認していないが、大使を派遣している。しかし、大使の役職は特命全権大使ではなく、政策的観点から名称が与えられている。アフガン情勢における日本の立場が注目されている。

中ロ、暫定政権承認へ布石か 大使派遣、「テロ」指定解除準備 タリバン復権3年・アフガン

 【ニューデリー時事】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが復権して15日で3年。

 人権抑圧に対する懸念からタリバン暫定政権を正統な政府と認めた国はない中、中国やロシアといった一部で正式承認に向けた布石とみられる動きが出ている。

 「人口の半分に当たる(女性の)貢献と潜在力が奪われたままでは、国際社会への復帰や経済・社会の十分な発展も望めない」。カタールで7月1日までの2日間開かれたアフガン情勢を話し合う国際会議。主催した国連のディカルロ事務次長は閉会後、そう語気を強めた。

 3回目となった同会議には暫定政権の代表団が初めて出席。ムジャヒド報道官は、アフガンの経済発展や麻薬対策に「ほとんどの国が協力する意思を示した」と成果を誇った。しかし、参加各国の代表者からは女性が教育や就労から締め出されている現状に懸念の声が上がったといい、正式承認は遠いことをうかがわせた。

 一方、中国は暫定政権との関係強化に前のめりだ。昨年9月に着任した駐アフガン中国大使は暫定政権に信任状を奉呈した。ロイター通信によると、暫定政権が大使を正式に受け入れたのは初。同12月には暫定政権が中国に大使を派遣した。

 中国にはアフガンの豊富な天然資源を共同開発する狙いや、隣接する新疆ウイグル自治区への過激派流入を防ぎたい思惑がある。今年7月には中国国有企業が主導するアフガン史上最大規模の銅鉱山開発事業がスタートした。

 また、ロシアのタス通信は5月、同国外務省などがタリバンの「テロ組織」指定解除をプーチン大統領に提案したと伝えた。モスクワ郊外では3月、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行を主張した銃乱射テロが発生。アフガンにはIS支部の拠点があり、対ISで協調するためタリバンに接近しているもようだ。

 プーチン氏は7月、訪問先のカザフスタンでロシアメディアの質問に答え、タリバンは「テロ対策におけるわれわれの味方だ」と発言した。

 日本は暫定政権を承認していないものの、大使を派遣している。ただ、現在の大使は信任状奉呈が必要な特命全権大使ではなく、「職務遂行の必要性に鑑み、政策的観点」(外交筋)から「大使」の名称が与えられているにすぎない。