バイデン氏、岸田氏を高評価 安保で連携 共に党内不人気があだに

AI要約

バイデン米大統領と岸田文雄首相は、防衛費の増額や日韓関係の改善などで協力し、互いのリーダーシップを称賛しあっていたが、政権内の圧力によりリーダーの座を降りることになった。

バイデン氏は岸田氏の勇敢なリーダーシップを称賛し、日米関係の強化や中国との戦略的競争における協力を重視していた。岸田政権は安全保障政策を強化し、防衛費増額やウクライナ情勢への積極的な関与により信頼を得ていた。

米大統領選挙でバイデン氏が後継に推薦したハリス副大統領とトランプ前大統領が接戦を繰り広げる中、日米関係の行方は不透明であり、次期指導者が決まるまで見通しが立たない。

バイデン氏、岸田氏を高評価 安保で連携 共に党内不人気があだに

 バイデン米大統領は、防衛費の増額や日韓関係の改善に取り組んだ岸田文雄首相を高く評価し、4月には国賓待遇で米国に招待していた。中国やロシアなど専制主義的な国家に対し、民主主義国家の連携を進めてきた2人だが、共に所属政党内からの圧力に屈する形でリーダーの座を降りることになった。

 バイデン氏は4月に岸田首相をホワイトハウスに迎えた際「あなたの勇敢なリーダーシップに心から感謝したい」と述べた。日米韓の3カ国協力やロシアのウクライナ侵攻に対する協調的な対応などを高く評価。「あなただからこそ、実現できたことだ」と手放しでたたえた。

 中国との戦略的競争を外交の最重要課題に位置づけたバイデン政権にとって、アジアで最大の同盟国である日本との関係強化は欠かせなかった。岸田氏は安倍晋三、菅義偉両政権の路線を発展させる形で、安全保障政策を強化。特に防衛費の抜本的な増額に踏み切り、米国との信頼は強まった。

 岸田政権が「今日のウクライナは、明日の東アジアかもしれない」との危機意識から、地理的に遠いウクライナ情勢に積極的に関わったことも、「昔の日本では考えられない」(米政府関係者)と評価を高めた。バイデン氏は「この男が立ち上がり、ウクライナを支援すると考えた人は米欧にはほとんどいなかったと思う」と称賛した。

 また日米を軸に、韓国やフィリピンを交えた首脳会談をそれぞれ行うなど関係を発展させた。

 米大統領選は、バイデン氏が後継に推薦したハリス副大統領とトランプ前大統領が接戦を繰り広げている。バイデン、岸田両氏がリードしてきた日米関係の行方は、双方の次の指導者が決まるまで見通しがつきにくくなっている。【ワシントン秋山信一】