経営破綻の米レッドロブスター、忘れられた歴史 黒人客から支持された理由は

AI要約

米シーフードレストラン大手「レッドロブスター」がアメリカ国内で多くの店舗を閉鎖している中、黒人客にとって同社の衰退は大きな損失となっている。

レッドロブスターは黒人客を積極的に受け入れ、顧客全体に占める割合が他のレストランよりも高い。有名人も含め黒人セレブが同社で働いたり、楽曲で言及するなど、親しみを持たれていた。

レッドロブスターの成功の要因として、黒人向けに店舗を展開し、地元のレストランに比べて高級感を提供していたことが挙げられる。

ニューヨーク(CNN) 苦境に陥っている米シーフードレストラン大手「レッドロブスター」が、米国内で系列店を相次ぎ閉店する中、全米の多くのコミュニティーが、チェダーベイビスケットや食べ放題のシーフードを味わう機会を失いつつある。

しかし、レッドロブスターの衰退は、特に多くの黒人客にとって大きな損失だ。歴史家や顧客、さらにレッドロブスターの元幹部らによると、黒人客は同社の忠実な顧客層を形成し、現在も顧客全体に占める黒人客の割合は、他の主要なカジュアル・チェーンレストランよりも高いという。

レッドロブスターが2015年に投資家向けに行ったプレゼンテーションによると、同社の顧客の16%が黒人で、米国の全人口に占める黒人の割合よりも2パーセントポイント高かった。CNNは同社に現在の顧客の人口統計を開示するよう求めたが、回答は得られなかった。

レッドロブスターは、1960年代後半に米国南部で創業した当初から、黒人労働者を雇用し、黒人客をもてなしてきた。コメディアンのクリス・ロックや女性ラッパーのニッキー・ミナージュなど、有名になる前に同社で働いた経験を持つ黒人セレブも多い。また歌手ビヨンセの2016年の楽曲「フォーメーション」の歌詞の中には、恋人をレッドロブスターに連れて行くというくだりがある。

レッドロブスターは、米国の多くのレストランが黒人客を歓迎していなかった1970~80年代に労働者階級と富裕層の黒人客を引き付けたと語るのは、ペンシルベニア大学でアフリカ系研究を専攻するマーシャ・チャテレイン教授だ。

またチャテレイン氏は、レッドロブスターの初期の店舗がショッピングモールの近くにあったことも多くの黒人客の獲得に寄与したと指摘する。

チャテレイン氏は「レッドロブスターがショッピングモールの近くに多くの店舗を開店した時期は、1964年の公民権法制定後に黒人向けの小売店の選択肢が増えた時期と重なる」とし、さらに「(レッドロブスターのような)レストランのスタイルは、地元のレストランでどのような扱いを受けるか不安に感じることなく高級料理店のような体験を楽しみたい人々にとって魅力的だった」と付け加えた。