カマラ・ハリスは「DEI枠」 選挙戦の展開を予兆させる共和党議員の発言

AI要約

カマラ・ハリス副大統領が史上最高額の選挙資金8100万ドルを集め、民主党選出候補内定に近づく中、一部の共和党員は人種を攻撃の標的とする動きを見せる。

共和党のティム・バーチェット下院議員はハリス氏の選出が人種に基づくものだと暗示し、選挙戦は凡庸VS実力主義の議論で波乱含みとなる可能性がある。

一方、他の共和党員は人格や政策を争点にすべきだと主張し、選挙は個人攻撃ではなく国民の期待に応える人物を見極めるべきだと訴えた。

カマラ・ハリスは「DEI枠」 選挙戦の展開を予兆させる共和党議員の発言

(CNN) 米大統領選に向けた選挙活動の開始初日から、カマラ・ハリス副大統領は早くも民主党選出候補内定に十分な代議員の票を獲得し、史上最高額となる8100万ドル(約126億2510万円)の選挙資金を集めた。

とはいえ、ハリス氏が正式に大統領選に参戦して24時間も経たないうちに、一部の共和党員は攻撃の矛先を同氏の人種に向けた。

22日、共和党のティム・バーチェット下院議員(テネシー州代表)はCNNのマニュ・ラージ記者とのインタビューで、ジョー・バイデン大統領がハリス氏を副大統領候補に指名したのはひとえに黒人だったからだと示唆した。「DEI(多様性、平等、インクルージョン)の枠で選ばれたのは100%間違いない」と同議員は述べ、「副大統領の経歴は、どう頑張っても最悪としか言いようがない」

政治アナリストには聞きなじみのある戦略だ。バーチェット議員の発言は、2008年大統領選でバラク・オバマ氏の出生地に関する陰謀論をぶち上げた共和党の戦術を彷彿(ほうふつ)とさせる。すでに波乱含みの選挙戦が投票日までにどう転ぶかを暗示するような発言だと牽制(けんせい)する声も上がっている。

「こうした凡庸VS実力主義という議論は延々と繰り広げられてきた。実際はというと、米国史でこれまで検討対象にされてきたのはほぼ白人男性のみで、凡庸かどうかは取りざたされなかった」。民主党ストラテジストのキース・ボイキン氏はこう語り、現在の状況を1960年代に共和党が展開した「南部戦略」になぞらえた。当時の共和党は人種の怒りをばねに、白人有権者を投票に駆り立てた。

「黒人、女性、有色人種や性的マイノリティーが公的な立場で職場や社会に参入し始めると、(実力主義が)話題にのぼってきた。そこから突如、ストレートの白人男性以外は参入するに値しないという思い込みが生まれた」

その後共和党のマイク・ジョンソン下院議長は22日の記者会見でバーチェット議員の発言に触れ、「人格ではなく政策」を争点にした選挙にするべきだと訴えた。

「今回カマラ・ハリス氏に関する発言は個人攻撃ではない。同氏の人格、人種、性別とは無関係だ。米国民の期待に応え、泥沼状態から救い出してくれる人物は誰かという発言だ」