景気不振に焦る中国、5カ月ぶりに政策金利引き下げ

AI要約

中国が内需浮揚のため事実上の利下げを実施しましたが、不動産産業沈滞と拡大する米中対立により経済活性化は難しい状況です。

中国は最優遇貸出金利を引き下げましたが、内需不振と経済成長率の低さが課題となっています。

米中対立や不動産不振、貿易紛争など、中国経済が脱却困難な状況にあり、将来の見通しは慎重視されています。

景気不振に焦る中国、5カ月ぶりに政策金利引き下げ

景気不振の泥沼が予想より長引き、中国が内需浮揚に向けて事実上の利下げを断行した。ただ不動産産業沈滞と拡大する米中対立で経済に活路を求めるのは依然として容易ではないという指摘が出ている。

中国の中央銀行である中国人民銀行は22日、5年物最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を3.95%から3.85%に、1年物LPRは3.45%から3.35%にそれぞれ0.1%引き下げたと明らかにした。LPRは中国の主要商業銀行20行が最優良顧客に適用する優遇貸出金利だ。LPRにより他の貸出金利も決まるため事実上の政策金利の役割をする。

通常5年物LPRは住宅担保融資の基準として、1年物LPRは信用と企業向け貸付の基準として使う。中国人民銀行は2月に不動産景気活性化に向け5年物LPRを0.25%下げているが、5カ月ぶりに0.1%の追加引き下げに出た。1年物LPRは2023年8月以来の引き下げとなる。

ロイター通信が市場専門家36人を調査した結果、64%の23人がLPRに変化がないものと予想したほど据え置きの見通しが優勢だった。だが予想を破って中国がLPR引き下げに出たのはそれだけ景気状況が良くないからだ。

中国国家統計局が発表した4-6月期の国内総生産(GDP)増加率は前年同期比4.7%にとどまった。ロイター通信の市場見通し5.1%と1-3月期の5.3%を下回っただけでなく、中国政府の年間目標値の5%も達成できなかった。

内需不振状況はさらに深刻だ。先月の中国の小売り販売増加率は前年同月比2.0%で2022年12月のマイナス1.8%以降で最も低かった。先月行われた中国最大のオンラインショッピングイベント「618商戦」の売り上げが初めて前年同期比で7.0%減少するなど振るわなかったのが決定的だった。ここに中国内需の最大の障害物として作用している不動産沈滞も続いた。先月の新規住宅価格は1年前と比較して4.5%下がり、5月の3.9%より下げ幅が拡大した。

中国共産党の第20期中央委員会第3回全体会議で特別な対策が出てこなかったこともLPR引き下げを呼んだと分析される。ここにドル安を主要政策として掲げるトランプ米共和党大統領選候補の当選の可能性が大きくなり、中国通貨当局が利下げを通じて人民元安をかえってあおったという解釈も出ている。

大信証券のイ・ハヨン研究員は最近の報告書で「それなりに良好な輸出回復傾向持続に向け中国政府は人民元安を容認するほかないが、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが表面化するにつれ中国通貨当局もまた追加利下げが予想される状況だった」と指摘した。

それでも見通しは明るくない。供給過剰に触発された中国の不動産不振が当分は解決するのが難しい上に、米中対立が米国大統領選挙を基点に増幅される可能性が大きいからだ。トランプ氏が当選すれば中国に課される関税が大きくなり、貿易紛争もさらに深まるとみられ、現在の中国経済を後支えする輸出競争力が落ちる可能性が大きい。

梨花(イファ)女子大学経済学科の石秉勲(ソク・ビョンフン)教授は「中国がLPRを引き下げたのはそれだけ内需不振を回復するのが容易でないという傍証。LPR引き下げにもかかわらず、中国経済が当分不振から脱出するのは容易ではなさそうだ」と話した。