バイデン氏「起きるはずのないこと」…各国首脳「民主主義に対する挑戦」

米国のトランプ前大統領が１３日（現地時間）、ペンシルベニア州の遊説中に銃撃で負傷したというニュースが伝えられ、世界中に衝撃が走った。米国の政治家や各国首脳は政治的立場を問わず一斉に今回の攻撃を糾弾し、トランプ氏の快癒を祈った。

ロイター通信などによると、バイデン大統領はこの日デラウェア州リホボスビーチで行った国民に対する演説を通じて「米国でこのような政治暴力が起きるかもしれないという考え自体をしたことがなく、適切ではない」としながら「われわれは一丸となって団結し、これを糾弾しなければならない」と明らかにした。あわせて「これこそわれわれがこの国を統合しなければならない理由の一つ」と強調した。バイデン氏はこの日、銃によって負傷したトランプ氏と電話で話をしたとＡＦＰ通信が伝えた。

トランプ氏の負傷が軽微だったこと受け、長女のイバンカ氏はこの日ＳＮＳに「パパ、愛してる」と書いた。続いて「ペンシルベニア・バトラーで起きた無分別暴力の犠牲者と私の父のための皆さんの祈りに感謝している」と伝えた。

米国の共和党と民主党はともに今回のテロに批判のメッセージを出した。共和党副大統領候補に挙げられているマルコ・ルビオ上院議員（フロリダ）は「トランプと集会に出席した人々のために祈る」とし、Ｊ・Ｄ・ヴァンス上院議員（オハイオ）は「皆さんが大丈夫であることを願う」と応援した。

民主党でも、大統領選挙競争者であるトランプを狙った暴力は容認できないという反応が出ている。ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務は「いかなる種類の政治暴力も絶対に容認できない」と明らかにした。かつて夫がテロ攻撃を受けたことがあるナンシー・ペロシ前下院議長は「政治暴力の被害者家族のいる人間として、このような暴力が米国社会に占める場所がないことを体験で知っている」と話した。

前職大統領も政治暴力をなくそうと声を高めた。オバマ元大統領は「トランプ氏に負傷が深刻なものではなかったことに安心する一方で、これを機に米国政治に相互尊重・丁重さを取り戻さなければならない」と述べた。クリントン元大統領は「米国に暴力が占める場所はなく、特に米国政治ではなおさらだ」と明らかにした。ジョージ・Ｗ・ブッシュ元大統領は「（トランプ氏を狙った）卑怯な攻撃にも無事だった事実に感謝したい」とした。

各国首脳もテロを糾弾してトランプ氏の安否を気遣った。韓国の尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領は「恐ろしい政治暴力に衝撃を禁じ得ない」とし「トランプ前大統領の快癒を祈る」と明らかにした。日本の岸田文雄首相は「民主主義に挑戦する暴力には毅然（きぜん）と立ち向かわなければならない」と表明した。

親トランプ派であるイスラエルのネタニヤフ首相とハンガリーのオルバーン首相もＳＮＳにトランプ氏に対する見舞いの言葉を伝えたとＣＮＮが報じた。このほかにカナダ・英国・ニュージーランド・インド・台湾・フィリピン・タイの首脳が相次いで見舞いの声明を発表したとロイターが伝えた。中国外交部は１４日のコメントで「中国はトランプ前大統領が銃撃事件にあったことを注目した」とし「習近平国家主席はすでにトランプ前大統領に慰問を伝えた」とした。

大統領選挙関連の立場を出してこなかったテスラのイーロン・マスク最高経営責任者（ＣＥＯ）は銃撃事件直後、トランプ氏を公開支持するコメントを出した。マスク氏はこの日、ＳＮＳに「トランプを全面的に支持し、彼の快癒を祈る」と書いた。続いて「米国にこのように強靭な候補がいたのはセオドア・ルーズベルトが最後だった」とした。米国第２６代大統領セオドア・ルーズベルト（１８５８～１９１９）は１９１２年大統領選挙遊説会場で胸部に銃を受けた。防弾服を着用していて命に別状はなかったものの、ルーズベルトは有権者との約束を守らなくてはならないと言って、すぐに病院にはいかずに９０分間演説して壇上から降りた。