NATOが首脳宣言 ウクライナへの長期的支援誓う 加盟は「不可逆的」

AI要約

NATO首脳会議がウクライナ支援を強化する首脳宣言を発表した。長期的な支援と軍事援助を提供し、ロシアへの強い譴責も含む。

対中国では、ロシアの侵略を支援する行為を非難し、サイバー攻撃や核軍拡に対処するための措置を求めた。

米国とドイツは2026年から長距離攻撃兵器の独国内配備を決定。インド太平洋地域においても日本や韓国との協力強化を宣言した。

【ワシントン=黒瀬悦成】米ワシントンで開かれている北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は10日、首脳宣言を発表し、ロシアに侵略されたウクライナへの長期的な支援を強化し、同国の自由に向けた戦いを勝利に導くことを確認した。

首脳宣言は、ウクライナが「NATO加盟に向けた不可逆的な道を歩むことを支援する」と強調。ウクライナへの長期支援計画の一環として、来年も少なくとも計400億ユーロ(約7兆円)規模の軍事支援を続けることを盛り込んだ。

これまで米国が担ってきたウクライナへの兵器供与や同国兵士の訓練に関する調整をNATO主導で実施することも明記された。一連の任務を管轄する新司令部がドイツに設置される。

全加盟国がウクライナ戦争の長期化やロシアの脅威増大をにらみ防衛産業の基盤強化の計画を立案することで初めて合意したことも明記した。

中国に関しては、ウクライナを侵略するロシアの「明白な支援者になっている」と痛烈に非難し、兵器への転用が可能な物資や原材料の輸出など、ロシアの侵略戦争を支える全ての物的、政治的支援の停止を求めた。

また、中国に対しサイバー攻撃や偽情報工作の是正を促したほか、中国の急速な核軍拡に関し、核リスクの低減に向けた戦略対話に応じ、透明性を高めるよう求めた。

NATOのストルテンベルグ事務総長は10日の記者会見で「NATOとして中国にこれまでで最も強力なメッセージを送った」と強調した。

首脳宣言は北朝鮮によるロシアへの弾道ミサイルや弾薬の輸出を非難。露朝の関係強化に「重大な懸念」を表明した。

核力に関しては「核抑止力は同盟の安全保障の礎石だ」と指摘し、核戦力の近代化を進めるとした上で、ロシアの核威嚇を非難した。

これに関連し、米独政府は10日、巡航ミサイルなど米国製の長距離攻撃兵器を2026年から独領内に配備すると発表した。かつて米ソが締結した中距離核戦力(INF)条約が19年に失効して以降、米国として最大規模のミサイル戦力の欧州配備となる。

インド太平洋については「米欧の安全保障に直接影響する重要地域だ」とし、日韓などとウクライナ支援やサイバー防衛、偽情報対策などで協力を強化するとした。