NATO首脳会議が開幕 米欧、ウクライナに対空ミサイルなど数百基を追加供与へ

AI要約

北大西洋条約機構(NATO)創立75周年の記念式典が開幕。ウクライナ支援強化やインド太平洋地域との連携強化が議題に。

米独伊などがウクライナに防空システムや迎撃ミサイルを追加供与することを決定。

加盟国の国防費増額目標達成や国防産業の基盤強化に向けた計画などが進展。

【ワシントン=黒瀬悦成】創立75周年を迎えた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が9日、米ワシントンでの記念式典で開幕した。11日までの日程で、ロシアに侵略されたウクライナに対する支援の強化や、日本などインド太平洋地域のパートナー諸国との連携強化の方策などについて話し合う。

記念式典は、1949年の北大西洋条約の署名会場となったアンドリュー・メロン講堂で開かれた。会議を主催するバイデン米大統領は式典で演説し「ウクライナは必ずプーチン(露大統領)を押しとどめる」と述べ、米独伊とオランダ、ルーマニアの5カ国が計数百基の防空システムや迎撃ミサイルを来年までにウクライナに追加供与すると明らかにした。

バイデン氏はまた、10年の在任期間を経て10月に退任するNATOのストルテンベルグ事務総長に対し、民間人に贈られる米最高位の大統領自由勲章を授与した。

ホワイトハウスの発表によると、5カ国は少なくとも4基の地対空ミサイル「パトリオット」と1基のイタリア製「SAMP-T」に加え、米国製ホークなどの迎撃ミサイルや独製ゲパルト対空戦車などを供与する。

ウクライナのゼレンスキー大統領は露軍のミサイル攻撃に対抗するため防空システムの供与を強く要請していた。

懸案となってきた加盟国の国防費の増額をめぐっては、全32カ国の約7割にあたる23カ国が国防費国内総生産(GDP)比2%に増やす目標を年内に達成する見通し。

今回のサミットが初外遊となるスターマー英首相は9日、英国が目標をさらに引き上げ、GDP比2・5%の達成を図ると表明。スターマー氏は首脳会議で他の加盟国にも2・5%を目指すよう呼びかける見通しだ。

一方、ストルテンベルグ氏は9日、会議に先立つ講演で、ウクライナ戦争の長期化やロシアの脅威増大をにらみ、加盟国が兵器や弾薬の生産拡大など国防産業の基盤強化に向けた計画の策定で合意すると発表した。

同氏によると、NATOは複数の加盟国向けに米国製スティンガー地対空ミサイル約7億ドル(約1130億円)相当を発注した。