トランプ氏の免責一部容認 米最高裁、審理差し戻し

AI要約

米連邦最高裁は、トランプ前大統領が2020年大統領選の結果を覆そうとした事件に関し、在任中の公的行為に免責特権があると判断した。

最高裁は公的行為に関しては免責特権があるとしつつも、公的でない行為に関しては免責されないとし、刑事訴追の対象になる可能性があることを示唆した。

リベラル派の判事はこの判決を批判し、大統領が法を超える存在となる可能性を指摘した。

トランプ氏の免責一部容認 米最高裁、審理差し戻し

【AFP=時事】米連邦最高裁は1日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が2020年大統領選の結果を覆そうとした事件をめぐり、大統領在任中の公的行為に関しては免責されるとの判断を示した。公的行為に当たるかの審理は連邦地裁に差し戻され、11月の大統領選前に初公判が開かれる公算はほぼなくなったとみられる。

 最高裁判事9人のうち、トランプ氏がかつて任命した3人を含む保守派6人が賛成、リベラル派3人は反対した。

 保守派のジョン・ロバーツ(John Roberts)最高裁長官は多数意見として、大統領といえども「法を超える存在ではない」としながら、在任中の公的行為に関しては刑事訴追の対象にならない「絶対的な免責特権」があると指摘。「大統領は憲法に基づく核となる権限の行使については訴追を免れ得る」と述べた。

 その一方で、「公式でない行為については免責されない」とし、トランプ氏の行為に関して公私の判断を下すよう連邦地裁に求めた。

 イリノイ大学シカゴ校(University of Illinois Chicago)のスティーブン・シュウィン(Steven Schwinn)教授(法学)は最高裁判決を受け、訴訟の長期化を予想。「トランプがこの訴訟を大統領選後にずれ込ませようとしていたことからすると、大きな成功を収めたと言える」と論評した。

 トランプ氏も自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「われわれの憲法と民主主義の勝利だ」と歓迎した。

 これに対しリベラル派のソニア・ソトマイヨール(Sonia Sotomayor)最高裁判事は反対意見で、大統領は「海軍の特殊作戦部隊SEALチーム6(SEAL Team 6)に政敵の暗殺を命じても免責されることになる」などとし、「大統領は法を超える王となった」と批判した。【翻訳編集】 AFPBB News