トランプ氏「免責特権」で勝利主張 米最高裁判断、審理差し戻し 初公判は大統領選後か

AI要約

連邦最高裁がトランプ前大統領の免責特権の適用を認める判断を下し、具体的な審理は下級審に差し戻された。

判決により、トランプ氏の行動が公的か非公的かが焦点となり、将来の司法プロセスに影響を与える可能性がある。

トランプ氏は選挙手続き妨害などで起訴されており、今後の公判は遅れる見通し。バイデン大統領陣営は法の執行を強調している。

【ワシントン=大内清】米共和党のトランプ前大統領が2020年大統領選の敗北を覆すために公的な選挙手続きの妨害を共謀したなどとして起訴された事件に絡み、連邦最高裁は1日、大統領在任中の「公的な行動」は刑事責任を問われない「免責特権」が適用されるとの初めての憲法判断を下した。トランプ氏の主張の一部を認めた形で、具体的にどの起訴事実が免責対象となるかなどの審理は下級審に差し戻した。

差し戻し審は長期化も予想され、選挙手続き妨害事件などの初公判は11月の大統領選後にずれ込む公算が大きい。訴追は不当だと訴え、公判期日の遅延を図ってきたトランプ氏に追い風となる。

トランプ氏は同日、交流サイト(SNS)に「憲法と民主主義の大勝利だ!」と投稿した。民主党のバイデン大統領陣営は「誰も法の上に立つことはできない。トランプ氏が暴徒を扇動し選挙結果を覆そうとした事実は変わらない」と指摘し、今後の司法プロセスを見守る姿勢を示した。

判断は「非公的な行動については免責されず、大統領の行動はすべて公的なものだともいえない」とも言明しており、今後は、起訴された事件におけるトランプ氏の行動が「公的」とみなされるか否かが焦点になる。判断には、最高裁を構成する判事9人のうち保守派6人が賛成、リベラル派3人が反対した。

トランプ氏は20年大統領選後、虚偽と知りつつ「大規模な不正があった」と主張し、側近らとともに選挙結果の転覆を働きかけたなどとして昨年8月に起訴された。トランプ氏らの不正主張は、それを信じた支持者による21年1月の連邦議会襲撃につながった。

また同氏は、退任時にホワイトハウスから持ち出した機密文書の返還を拒み、違法に所持したスパイ防止法違反などの罪でも起訴されている。

トランプ氏は、大統領在任中のあらゆる行動は刑事訴追の対象にはならない「絶対的な免責特権がある」と訴えていた。