「SDGs、このままでは8割は未達成」と国連が報告書

AI要約

国連はSDGs(持続可能な開発目標)の進捗状況を報告。2030年までに達成できる見込みのターゲットはわずか17%と指摘。

報告書によると、子どもの死亡率削減など一部の項目で進展が見られる一方、気候変動や不平等などで迅速な行動が求められている。

アントニオ・グテーレス事務総長は2030年までの目標を諦めず、貧困撲滅と地球保護に向けた野心を高めるよう呼びかけている。

「SDGs、このままでは8割は未達成」と国連が報告書

国連は6月28日、SDGs(持続可能な開発目標)に関する年次報告書の2024年版を発表した。評価可能なターゲットのうち、2030年までに達成できる見込みがあるものは、17%に過ぎないとした。特に、目標1(貧困)、目標6(水と衛生)、目標13(気候変動対策)、目標16(平和と公正)での進捗が大幅に遅れている。(オルタナ副編集長=吉田広子)

国連経済社会局(UN DESA)は、200以上の国と地域のデータに基づき、50以上の国際機関や地域機関で構成される国連統計システム全体と連携して、SDGsに関する年次報告書をまとめた。

同報告書は、SDGsのターゲットのうち、順調に進んでいるのはわずか17%で、約半数はわずかな進展または中程度の進展、3分の1以上は進展が停滞しているか後退している――とまとめた。

SDGsが掲げるターゲットのうち、世界の子どもの死亡率削減、HIV感染の予防、エネルギーやモバイルブロードバンドへのアクセスなどで進展が見られたとする。

一方で、気候変動対策、平和と安全、国家間および国家内の不平等などで、迅速な行動が必要だと強調した。新型コロナウイルス感染症の影響の長期化、紛争の激化、地政学的な緊張、気候変動の深刻化が、SDGsの進展を著しく阻害しているとする。

世界の極度の貧困層の割合は、パンデミックの影響で、2019年の8.9%から2020年に9.7%に上昇し、3年分後退したという。

気候変動への危機感は高まるが、化石燃料への補助金は過去最高を記録し、世界の温室効果ガス排出量は増加し続けていることから、野心を高める必要があると指摘した。

アントニオ・グテーレス事務総長は「残り6年以上ある今、私たちは2030年までに貧困を撲滅し、地球を守り、誰一人取り残さないという約束を諦めてはならない」とコメントしている。