【香港 国安法4年】「教育の最後のラインを守っていく」かつて民主派支持の教員が今も教壇に立つ理由

AI要約

香港の反政府的な言動の取締りが厳しさを増し、教員の数が急増する中、国歌斉唱などの国家主義教育の要求も厳しさを増している。

香港の教員は辞職を余儀なくされる中、学校での政治的な表現に対するガイドラインが厳しさを増している。

国家安全法の施行以降、香港の教育環境は大きく変化し、国家主義教育への抵抗が強まっている。

【香港 国安法4年】「教育の最後のラインを守っていく」かつて民主派支持の教員が今も教壇に立つ理由

「国家安全維持法」の施行から4年。今年は「国家安全維持条例」も施行され、香港における反政府的な言動の取締りは一層厳しくなっている。かつて多様な意見を育んできた特色的な教育は“反乱の温床”と見なされ、大勢の教員が身の危険を感じ、あるいは失望し、職を辞した。その数は2000人から3000人とも言われるが、今も教壇に立ち続ける教員が複雑な胸中を明かした。

■「中央政府は成果を見て喜ぶ」

2021年8月、10万人近い会員を有した労働組合「香港教育専業人員協会」が解散を発表した。香港の教員は「ほとんどが民主派(現役教員談)」とされ、同協会も民主派の支持基盤だったことから「巨大な圧力を受けた」と解散の理由について述べている。香港政府教育局の資料によると、退職(定年含む)した教員の数(幼稚園、小学校、中学校、特殊学校)は2020~2021年は3406人だったのに対し、2021~2022年は5397人、2022~2023年は6748人と急増している。

「学校の変化は大きいですよ。授業で話す全ての内容に気を付けなければなりません」

そう語る男性教員は、学校勤務15年以上のベテランで、周りの同僚と同様に民主派を支持していたという。学校では常に“自分の中で審査”してから発言しているといい、児童らはもちろん、こうした苦労を知らない。この男性教員が変化として最初に挙げたのは、学校での「国歌斉唱」についてだ。国歌とはもちろん、中国の「義勇軍進行曲」のことだ。

香港の小学校教員:

「以前は静かに起立していればよかったのですが、今は大きな声で、はっきりと歌わなければなりません。出来なければ、歌うようになるまで繰り返し歌わせます」

香港では2020年に、中国国歌への侮辱行為を禁じる「国歌条例」が施行された。6月のサッカーワールドカップ・アジア二次予選では、国歌の演奏時に起立しなかったり、背をそむけたりしたとして3人が逮捕されている。男性教員の話からは学校においても、いかに国歌を重要視しているかわかる。