中国、レアアース管理条例を10月施行へ 「国家所有」を強調、米国などに対抗

AI要約

中国政府は、レアアースの管理を強化する新しい条例を公布した。これは中国の戦略資源として位置付けられており、ハイテク分野での対立に備える狙いがある。

条例はレアアースの採掘から製品流通、輸出入などに適用され、資源の保護と開発を重視する。中国は重要鉱物資源全般の管理を強化し、国家が新技術や製品の研究開発を奨励する。

制定準備を進めてきた中国は、日米欧との対立時にレアアースを交渉のカードとして活用する意向も示唆されている。

中国政府は29日、ハイテク製品の生産に欠かせないレアアース(希土類)への統制を強化する「レアアース管理条例」を公布したと発表した。中国国営新華社通信が伝えた。10月1日に施行する。レアアースについて「国家の所有に属し、いかなる組織や個人も不法に占有したり資源を破壊したりしてはならない」と明記した。

国家の戦略資源としてレアアースに関する管理を強め、ハイテク分野で対立の長期化が見込まれる米国などに対抗する狙いとみられる。施行後、レアアースを中国から輸入する日本企業にも影響が出る可能性がある。

条例はレアアースの採掘や精錬・分離、利用、製品流通、輸出入などサプライチェーン(供給網)の全体に適用する。中国共産党と国家の方針に基づきレアアース資源の保護と開発を重視するよう規定。レアアース産業の新たな技術や製品、材料、装置の研究開発や応用を国家が奨励する。

中国はレアアース管理条例の草案を2021年に公表し、制定へ準備を進めてきた。レアアースに限らず現代の産業に欠かせない重要鉱物資源の管理を強めており、日米欧との対立が激化した際の「カード」にする狙いもうかがわれる。(中国総局 三塚聖平)