【独自】岡山県議会 外国人支援へ独自条例 議員発議方針、人材受け入れ促進

AI要約

岡山県議会が外国人材の積極的な受け入れと多様な支援の実現に向け、独自条例を議員発議によって制定する方針を固めた。外国人材への支援を県の責務とし、日本語教育や労働環境の整備、災害対応などを推進。都道府県条例として全国でも例がない。

超党派の議員連盟が中心となって立案した「外国人材等支援推進条例(仮称)」の素案では、産官学労4者による協議会の設置や各関係者の役割を明記。9月には県議会へ提案する予定。

新制度「育成就労」創設で外国人材の流入加速が予想され、県民協力のもと、外国人との共生を目指す。しかし、地域社会の摩擦を避け、条例趣旨の説明が重要。

【独自】岡山県議会 外国人支援へ独自条例 議員発議方針、人材受け入れ促進

 岡山県議会が外国人材の積極的な受け入れと多様な支援の実現に向け、独自条例を議員発議によって制定する方針を固めたことが26日、関係者への取材で分かった。労働力不足の解消のため国が外国人材の活用を加速させていることを踏まえ、日本語教育や労働環境に関する支援を県の責務と規定し「選ばれる県」を目指す。既に条例素案を取りまとめており、来年4月の施行を想定している。外国人材の受け入れ促進を掲げる都道府県条例は全国でも例がないという。

 「外国人材等支援推進条例(仮称)」で、素案は超党派の議員連盟が中心となって立案した。外国人材への支援を県の責務とした上で、日本語教育の充実や労働環境の整備をはじめ、災害対応、地域住民との共生・交流などについて、推進計画を策定することを盛り込んだのが特徴だ。

 素案ではまた、支援を総合的に進めるため企業、行政、学術、労働組合関係の「産官学労」4者による協議会の設置を明記。市町村、県民、事業者、教育関係のそれぞれの役割についても規定した。市町村などへの意見照会を経て成案をまとめ、早ければ9月定例県議会に議員発議で提案する方針。

 外国人材を巡っては近年、職場でのハラスメントや賃金未払いが問題化。2022年には岡山市の建設会社でベトナム人技能実習生への暴行が明るみとなって波紋を広げた。受け入れ環境の整備が社会課題となっており、岡山県議会は議員発議による条例制定が必要と判断。議連メンバーが支援団体にヒアリングするなどして検討を重ねた。

 外国人の長期就労を促す新制度「育成就労」を創設する改正入管難民法が今月成立し、今後、外国人材の国内への流入がさらに加速するとみられる。議連会長を務める中塚周一県議は「外国人と共生する社会の実現には県民一人一人の協力が不可欠。その旗印となる条例を目指したい」としている。

 岡山大の朴志善准教授(政治過程論)の話 県民の代表である県議会が課題意識を持って立案し、日本語教育などの支援の実効性に留意した内容は評価できる。外国人にとって東京、大阪と比べると地方都市は知名度に劣り、先進的な条例はアピール材料にもなり得る。一方、急速な国際化は地域社会に摩擦を生じさせるリスクもある。反発による排他的な言動を招かぬよう、県民に条例趣旨を丁寧に説明することが大事だ。