難民危機再来の欧州、米国も不法移民急増 受け入れ厳格化も G7サミットで議題に

AI要約

G7サミットでは、欧米で急増する移民問題が主要課題となる。欧州や米国で移民流入が増加し、対策が必要とされている。

イタリアのメローニ首相はアフリカ支援を強化し、移民流入を抑制する方策を提案。サミットで他国に呼びかける予定。

イタリアや英国では移民を第三国に移送する計画が進行中。欧州各国で対応策が厳格化されている。

難民危機再来の欧州、米国も不法移民急増 受け入れ厳格化も G7サミットで議題に

13日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、欧米で急増する移民をめぐる問題も主要課題となる。

欧州ではアフリカや中東から移民や難民が押し寄せており、欧州連合(EU)は100万人以上が流入した2015年の難民危機が再来するとの懸念を強める。米国ではメキシコ国境から流入する不法移民が急増。23年に国境地帯で拘束された不法入国者は約250万人に上る。

サミットでは、G7各国が抱える移民流入の状況などを共有し、対応策を協議。議長を務めるイタリアのメローニ首相はチュニジアなど複数のアフリカの首脳を招待し、欧州へ逃れる移民の数を抑制する方法について意見交換する見通し。

メローニ氏は移民増加に歯止めをかけるには、アフリカ諸国の課題に対処する必要があるとみている。1月にはアフリカの開発に55億ユーロ(約9300億円)以上の資金を拠出し、エネルギーや農業分野への投資を通じて経済発展を支援すると表明した。メローニ氏は「アフリカの問題は1国で取り組む話ではない」としており、サミットでアフリカ支援の関与を他国に呼びかけたい考えだ。

■イタリア「モデルに」

G7各国は移民を抑制するため、他国への移送や受け入れの制限など対応を厳格化させている。

イタリアはアフリカから地中海を渡って欧州を目指す人々の最初の経由地で、移民が殺到。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、昨年1年間にイタリアに到着した人数は15万7千人を超え、2022年比で約50%増えた。

メローニ首相は昨年11月、不法移民を隣国アルバニアに送る計画を発表した。計画では最大3千人を一時的に収容する施設をアルバニアに建設し、海上で救助した不法移民をイタリアに上陸させずに施設に直送。施設での審査で難民資格が得られなかった人は送還する仕組みだ。今年8月に運用が開始する。欧州人権法では一度入国させると追放が困難なことから、メローニ氏は第三国に送る方法は移民流入に悩む欧州の「モデルになる」と自信を見せた。

アフリカや中東などから小型ボートで英仏海峡を渡る不法移民の数が増加する英国でも、上院が4月、不法入国した難民申請者をアフリカのルワンダに移送するための法案を可決。早ければ7月にも移送が開始される。