Bワン参入へ勝負の一年 さいたまブロンコスが新体制 観客・売り上げ増が課題

AI要約

さいたまブロンコスが新たな筆頭株主を迎え、Bリーグワンへの参入を目指す。

新シーズンに向けて、入場者数と売上高の増加を目指し、会場演出やアカデミー事業を強化。

ブロンコスは運営会社の株主が変わり、観客動員の増加や教育事業への取り組みを強化して未来に向け準備。

Bワン参入へ勝負の一年 さいたまブロンコスが新体制 観客・売り上げ増が課題

 創立43年の歴史を誇るプロバスケットボールチームが、大目標へ走り出す―。Bリーグ3部の「さいたまブロンコス」(埼玉県さいたま市)は、新シーズンの開幕を前に不動産事業などを手がける「エーシークリエイト」(東京都渋谷区)が筆頭株主になったと発表した。2026シーズンからB2に相当する「Bリーグワン」参入条件となる平均入場者数と売上高の大幅増へ、照明や音響を駆使した会場演出、アカデミー事業を加速させるなど、より魅力があふれ、地域に愛されるクラブづくりを目指す。

 ■高いハードル

 Bリーグは26~27年シーズンからクラブが長期的な視野で事業投資ができる環境を整えるため、競技成績による昇降格を撤廃する新たなリーグに生まれ変わり、ブロンコスは2部に相当するBリーグワンへの参入を目標に掲げる。

 参入には1試合平均の入場者数2400人、売上高4億円などの条件を満たす必要がある。昨季、ブロンコスの入場者数の平均は1591人で仮ライセンス基準は達成。売上高は2億2千万円で、約2倍とハードルは高い。来年4月の初回審査へ、今季は勝負の一年となる。

 新たにオーナー企業となったエーシークリエイトは運営会社「ブロンコス20」の株式を77%保有する。同社は埼玉を含む1都3県を中心に不動産ビジネスを展開。加えて介護や農業、さいたま市岩槻区で青果卸売業などを手がける。

 ■熱気創出へ席増設

 同社の金谷裕基顧問(41)は「興行面で楽しんでもらえる仕掛けを」と意気込む。徹底できていなかった照明や音響の演出を見直し、臨場感や熱気あふれる雰囲気を創出。新たなファン獲得やリピーターにつなげたい構えだ。

 主な試合会場は浦和駒場体育館と所沢市民体育館。所沢は約4千席で昨季は歴代最高観客動員となる3726人を達成した。ただ、さいたま市内で6割以上、試合をしなければいけない規定があり本拠地の浦和駒場が約1500人しか収容できないのが課題。そこで今季は仮設席を毎試合設置し、最大で1800前後まで席を確保する予定だ。

 ■未来への土台

 同社が最大の魅力と着目しているのが、ユースチームの創設などのアカデミー事業を含む教育への取り組みだ。20年シーズンに20人だったスクール生は700人を超える見通し。パートナー企業や行政と連携したバスケクリニックの開催、試合に小中学生やミニバスチームを無料招待するほか、会場では地元ダンスチームが演技で盛り上げる。昨季ホームゲーム来場者の35%以上が小学生だったという。同社の金川彰社長(35)は「子どもたちにブロンコスの未来を担ってもらえるような土台を作っていきたい」と語る。

 今季が自力でB2昇格を決められる最後のチャンス。移籍1年目で主将を務める吉田健太郎選手(28)は「ファンの皆さんがワクワクするような試合をして勝ち続けることが一番。子どもたちに夢を与えるプレーを見せたい」。さらに「選手個々やチームがSNS(交流サイト)で周知することも積極的にやっていきたい」と、魅力発信を強化していくつもりだ。

 ブロンコスは27、28日の開幕節で新潟アルビレックスBBと戦う(所沢市民体育館)。

■さいたまブロンコス 2005年に発足した日本初のプロリーグ「bjリーグ」結成に参加した6チーム「オリジナル6」の一つ。長期にわたる経営不振とともに成績も低迷し、20年にクラブ運営体制を一新して拠点をさいたま市に移した。22年にスポーツ事業会社「スポーツストーリーズ」が株式を取得するとB3リーグで22~23年は43勝9敗でシーズン2位、23~24年は34勝18敗で同4位でともにプレーオフに進出し、B2昇格まであと一歩に迫った。本拠地は浦和駒場体育館、ホームタウンはさいたま市と所沢市。