【ソフトバンク】山川穂高 楽天・則本昂大の申告敬遠に不満そうな表情を浮かべた理由

AI要約

ソフトバンクの4番・山川穂高が250号アーチを放ち、チームを勝利に導いた。

怪我で外れた5番打者に代わる穴を埋め、山川はリーグ屈指の好打者として孤軍奮闘。

最後の打席で申告敬遠され、感情をあらわにする山川は、真剣勝負を楽しむ姿勢を見せた。

【ソフトバンク】山川穂高 楽天・則本昂大の申告敬遠に不満そうな表情を浮かべた理由

 頼もしすぎる4番がまた火を噴いた。ソフトバンクの山川穂高内野手(32)が21日の楽天戦(みずほペイペイ)で通算250号アーチを放った。7回、相性のいい滝中から左中間席中段へリーグ断トツの32号ソロ。1点差に詰め寄る反撃の一発がチームに勇気を与え、逆転サヨナラ勝ちへと導いた。

 すぐ後ろを打っていた近藤健介外野手(31)が、右足首を負傷して17日に登録抹消。開幕から不動だった「4番―5番」の形が崩れた。リーグ屈指の好打者が外れたことで、勝負を避けられるシーンが明らかに増えた。この日も申告敬遠2つを含む3四球。7回の一発はこの日唯一のスイングだった。

 不動の4番は、自分で変えることのできない外的要因に心を乱されることを良しとしない。平常心で打席に立ち続けてきた男が、1点を追う9回に回ってきた最後の打席で珍しく感情をあらわにするシーンがあった。一死二塁、楽天ベンチと相手守護神・則本昂大投手(33)は申告敬遠を選択。相手はCS進出争い真っただ中で、山川は前の打席で一発を放っている主砲だけに、勝負を避けられるのは当然と言えば当然だった。

〝感情的〟になった理由は、山川らしい回答だった。

「則本さんって、すごい面白い投手なんですよ。すごい熱く戦える投手の一人なんで。こちら側の思い入れが強い投手。則本さんが投げてくる〝魂の球〟を僕はいつもフルスイングしてたんで、そういう意味で対戦したかったんです」

 優勝が目前に迫る中、ヒリヒリする局面で山川は誰よりも自然な笑顔が多い。思い入れのある則本と真剣勝負がしたかった――。申告敬遠に不満そうな表情を浮かべたのは、目の前の勝負を純粋に楽しんでいる証しだった。

 山川は試合後、こう言った。「今、楽しくやれてます。楽しくってのは、ヘラヘラするって意味じゃなくて、ヒリヒリする楽しい。『うわっ! うわっ!』って心の中で思いながらですね」。

 開幕から全133試合、ドッシリと4番に座ってきた。年間500打席以上に立ったシーズンはすべて本塁打王のタイトルを獲得。西武時代にはリーグ連覇も経験した。

 その言動から伝わる独特の安心感――。首位を独走しながら、最終盤で勝ち切ることの難しさにぶち当たっているチームにあって、唯一無二の存在感を放っている。