逆境と闘い続けた貴景勝の生きざま「幕内は無理、三役は無理」と言われ…ハンデを覆した努力と「準備」

AI要約

大相撲の元大関・貴景勝が引退届を提出し、年寄「湊川」を襲名した。逆境との闘いを続けた10年間の力士人生に幕が下ろされた。

貴景勝は身長や体重のハンデを覆し、プロ意識を持って相撲に取り組んできた。稽古と食事、睡眠のバランスを大切にし、強さを追求してきた。

ケガの怖さや厳しい勝負の世界から引退を決断し、5年間の大関在位を誇る努力を称えられた貴景勝の生きざまが感動を与えた。

 大相撲の元大関・貴景勝(28=常盤山部屋)が20日、日本相撲協会に引退届を提出した。優勝4回、大関在位30場所を誇る10年間の力士人生に幕。また、年寄「湊川」を襲名したことも相撲協会から発表された。

 貴景勝の相撲人生は、常に逆境との闘いだった。身長1メートル75、体重165キロ。身長だけで見れば関取の平均を大きく下回る“小兵”の部類だ。3度目の幕内優勝を果たした後、こんなことを語っていた。「身長はずっとコンプレックスだった。小さい頃、その身長ではプロは無理だと言われていた。幕内に上がったら三役は無理、三役に上がったら大関は無理、大関に上がったら横綱は無理…と」。最大の夢である横綱昇進こそかなえられなかったが、何度もハンデを覆し続けてきた。

 相撲と向き合う姿、生活の全てを相撲に捧げる姿は、高いプロ意識そのものだった。本場所中の取材では「準備」という言葉をよく使っていた。取組が終わったところから1日がスタートし、そこから何を食べるか、どんな治療や睡眠をするか、どんな稽古をするか、全てが次の取組に向けての「準備」である。そこに妥協は一切なく、一日に摂取するタンパク質の量やアミノ酸スコアまで計算していたという。強くなるためには稽古だけでなく「稽古と食事と睡眠の掛け算」が重要だと力説していた。

 4度目の優勝を果たしてからちょうど1年後に引退。ケガの怖さ、勝負の世界の厳しさを改めて痛感させられる。だからこそ、その中で5年間も大関の地位を守るにはどれほどの努力をしてきたのかは計り知れない。突き押し一筋で逆境と闘い抜いた貴景勝の生きざまは、見る者に多くの感動を与えた。