パリ五輪日本選手団の「顔」はフェンシング界のエース 江村美咲、金メダルの期待とともにパリへ

AI要約

パリ五輪の開幕が26日に迫り、日本選手団は史上最多の400人超を派遣し、金メダル20個を目標に掲げる。

旗手を務めるフェンシング女子サーブルの江村美咲は個人種目の金メダル候補として期待が高まる。

江村は過去の試練を乗り越えて磨き上げた技術とメンタルで、自信を持って五輪に臨む決意を示している。

パリ五輪日本選手団の「顔」はフェンシング界のエース 江村美咲、金メダルの期待とともにパリへ

 パリ五輪の開幕が26日に迫った。開会式に先立ち、24日からはラグビー7人制男子、サッカー男子などの競技が始まる。日本選手団は海外開催の五輪では史上最多の400人超となり、日本オリンピック委員会(JOC)は金メダル20個を目標に掲げる。

 日本選手団の旗手を務めるフェンシング女子サーブルの江村美咲(立飛ホールディングス)=大分市出身=は、大会の主役として期待が高まる。東京五輪では悔しい結果に終わったが、2022、23年の世界選手権を連覇し、堂々の金メダル候補として本番を迎える。(山田孝人)

 日本選手団の「顔」として、フェンシング界のエースとして、パリ五輪に挑む。江村はセーヌ川を舞台にして船上パレードが行われる開会式で旗手を務め、世界選手権を連覇している女子サーブルで日本勢初の個人種目の金メダルを目指す。

 開幕が近づくとともに高まる自身への期待に対し、戸惑いを感じたこともある。「どのくらいの注目度なのか、どのくらい期待されているか、ピンとこない部分もあって…」と率直な思いも明かす。

 急激な上昇カーブを描いた3年だった。2021年東京五輪は個人で13位、団体は5位でメダルに届かなかった。五輪後は精神的に落ち込んだ時期もあったが、22年の世界選手権で初の頂点に立つと、パリ五輪の前年となる昨年の同大会で連覇を達成した。

 東京五輪後に就任したフランス人のグース・コーチと二人三脚で技術を高めたことが奏功し、戦術面でも幅を広げた。「自分のフェンシングにすごく変化があった」。目まぐるしい時間だった分、戸惑いも生じたが、努力が実り、旗手に抜てきされるまでになった。

 勝利を重ねることで芽生えてきた思いもある。「勝つことが当たり前になって、負けることが怖くなった。負けた時の言い訳を準備してしまう自分もいた」。頂点を知ったからこそ感じる重圧とも、向き合い続けた。

 約2年前から慢性的な痛みを抱える左足の状態に対し、一抹の不安もある。現在の状態については「気にせずに動けるまで回復した」と前を向く。世界女王として迎える本番には「自分を信じて、試合を楽しんで、悔いなく全部出し切る」と挑戦者の思いで全てをぶつける決意だ。個人での金メダルへの挑戦だけでなく、団体でもチームを引っ張る存在だ。

 170センチの長身で前に大きく踏み出して攻めるロングアタックが得意技だ。順風満帆ではなかった時を経て臨む2度目の五輪。「自分らしく戦い抜いて、結果は後から付いてくると信じたい」。花の都で「美」しく「咲」くべく、磨いた剣を振るう。

【#OTTOパリ五輪情報】