玉鷲、生涯休場なし部屋の大先輩「玉の海」の浴衣で連続出場記録へ共闘 50年前の遺品をネットオークションで購入「見守ってくれていると思う」【大相撲名古屋場所】

AI要約

大相撲名古屋場所9日目、幕内最年長の玉鷲が竜電を破り5勝目を挙げた。

玉鷲は連敗を止めて、玉の海の記録に敬意を表して戦い続けている。

玉鷲はファンとのつながりを大切にし、一期一会の気持ちで全力を尽くしている。

玉鷲、生涯休場なし部屋の大先輩「玉の海」の浴衣で連続出場記録へ共闘 50年前の遺品をネットオークションで購入「見守ってくれていると思う」【大相撲名古屋場所】

◇22日 大相撲名古屋場所9日目(ドルフィンズアリーナ)

 幕内最年長の前頭9枚目、玉鷲(39)=片男波=が竜電を下手投げで下し、5勝目を挙げた。現役中に死去した同部屋の名横綱、玉の海が一度も休場しなかったことを意識して、連続出場記録を伸ばしながら奮闘している。

 一人じゃない。玉鷲は、ご当所で片男波部屋の大先輩横綱と一緒に戦っている気持ちでいる。鋭い出足から竜電に何もさせず、一気に押し出して5勝目。連敗を3で止め、白星を先行させた。

 「(連敗中は)嫌な3日間でしたね。きょうこそ前に出ようと。自分のいいところを出さないと勝てないので」

 今場所中、愛知県蒲郡市出身の玉の海の反物で仕立てた浴衣を愛用している。50年前の遺品をインターネットオークションで手に入れたこだわりの一着。「生地も傷みがなかった。すごいよね。玉の海関も見守ってくれていると思う」

 このまま休まず出場を続ければ、来場所2日目に青葉城が持つ初土俵以来の通算連続出場(1630回)の史上最多記録に並ぶ関取最年長39歳。玉の海の生涯も、大記録への原動力の一部になっている。

 2019年初場所で初優勝し、場所後の2月に同市の墓前に報告した。玉の海が現役中の1971年10月に27歳で死去するまで、休場がなかったことに触れて「現役で亡くなったことを思うと、何も言えなくなっちゃう。『横綱の分も』という思いで頑張る」と語っていた。

 師匠の片男波親方(元関脇玉春日)は「玉の海関が生涯休場しなかったことは、玉鷲に教えたことはなかった。自分で大相撲の伝統を学んで、目標にするのは素晴らしい心構えだと思う」と相撲と向き合う姿勢を評価する。

 この日も、幕内前半とは思えない大声援を巻き起こした玉鷲。「それが一番大事。一瞬だけど気持ちを込めて、プロとして『来てよかった』と少しでも思ってもらえたら」。ファンとの一期一会のため、勝敗を超えて土俵で全力を出し続ける。