「逆転の不動岡」の夏終わる 森選手、コールド阻止する意地の二塁打

AI要約

不動岡が春日部共栄に8-1で敗れ、7点を追う場面でエース森亮仁が打席で一点を挙げるも敗戦が決まる。

森は先発し5回までは無失点だったが、右足の母指球の痛みで制球が乱れ、マウンドを降りることになった。

春日部共栄に逆転負けし、笑顔を忘れない選手たちが「逆転の不動岡」のインパクトを残し大会を去った。

「逆転の不動岡」の夏終わる 森選手、コールド阻止する意地の二塁打

 (22日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会5回戦 不動岡1―8春日部共栄)

 7点を追う七回表。不動岡は無得点ならコールド負けが決まる。仲間がつくってくれた無死一、二塁の好機で、エース森亮仁(3年)は4球目を振り抜いた。右翼線への二塁打となり1点をもぎ取った。「このまま終わらせない、それだけだった」。狙い球も絞らず、気迫で打った一打だった。

 先発し、五回までは得点を許さなかった。しかし六回に入り、右足の母指球が痛み始めた。踏ん張りがきかず制球が乱れ、この回だけで5四死球を与えた。途中でマウンドを降り、右翼の守備にまわった。

 一度は阻止したコールド負けだが、七回裏、2死一、二塁のピンチを迎える。ここで森が再びマウンドへ上がった。2ボールからの3球目、直球を左中間へはじき返された。「この夏が、終わってしまった」。自然と涙があふれた。

 打撃戦となり、逆転勝ちを収めた3回戦の西武文理戦、4回戦の越ケ谷戦はいずれも3番手で登板し、勝利を呼び込む好投をみせた森だったが、春日部共栄の勢いは止められなかった。

 「笑」をキーワードに、どんな局面でも笑顔を忘れなかった選手たち。「逆転の不動岡」の強いインパクトを残し、5回戦で大会を去った。(中村瞬)