近大福岡が初の夏4強入り 田辺周が9回2安打完封 去年の悪夢を振り払う134球熱投/福岡

AI要約

近大福岡が大会連覇中の九州国際大付を1-0で下し、初の夏4強入りを果たす。

先発の田辺周主将が9回2安打無失点のスミ1完封を記録し、チームを甲子園出場へと導く。

田辺は昨年の敗北からのリベンジを果たし、福岡大若葉は初の準決勝進出を果たす。

近大福岡が初の夏4強入り 田辺周が9回2安打完封 去年の悪夢を振り払う134球熱投/福岡

<高校野球福岡大会:近大福岡1-0九州国際大付>◇20日◇準々決勝◇北九州市民

 近大福岡が大会連覇中の九州国際大付を下し、初の夏4強入りを決めた。先発の最速141キロ右腕、田辺周(しゅう)主将(3年)が9回2安打無失点。初回の1点を守り切る“スミ1完封”で8奪三振。134球の力投で春夏通じて初の甲子園出場へ、あと2勝とした。福岡大若葉は創部6年目で初の準決勝進出を果たし、22日に福岡大大濠との「兄弟校対決」が実現する。西日本短大付も勝ち上がり、福岡大会4強が出そろった。

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 息詰まる緊張から解き放たれ、田辺は右手を突き上げた。自然と笑みがこぼれた。

 「ベスト4に入れたのが素直にうれしい。相手は3連覇がかかっていたので、気負うことなく勝負をするつもりだった」

 9回2死。最後は一ゴロに封じ、自らで一塁ベースカバーに入った。昨夏王者の九州国際大付打線を9回シャットアウト。134球の熱投で、わずか2安打に封じ込んだ。計5四死球も「気持ちで」。再三の得点圏でギアを上げ、ホームは踏ませず。初回に挙げた虎の子の1点を死守した。

 「ここで点を取られたら去年の自分と一緒だなと思った」

 脳裏をよぎったのは昨夏の準々決勝だった。東筑戦に先発し、3回を7失点。チームも敗れ、当時2年生ながら責任を背負った。

 「今年は自分が勝たせないといけないと思って」

 その一心で右腕を振った。4回以降は先頭打者を全て断つ好リズム。うだる暑さの中、集中力を切らさなかった。攻撃中はベンチ奥で涼み、クエン酸の栄養剤、ゼリーでエネルギー補給。万全の状態で毎回マウンドに上がり、スコアボートに0を並べ続けた。

 「少しは晴らすことができたかな」

 過去の悪夢を振り払う快投劇で、チームを初の夏4強へ導いた。

 肘井利一監督は「うちは田辺のチームなので。自分のことをしっかりやって、背中で見せてくれました」と評した。

 春夏通じて初の夢舞台へ、手の届くところまできた。「必ず福岡県大会で優勝して、甲子園で1勝したい。自分がやってきたことを信じて、無失点に抑えていければ」。頂点のみを見据え、残り2試合を戦い抜く。【佐藤究】

 ◆田辺周(たなべ・しゅう)2006年(平18)5月19日生まれ、福岡県飯塚市出身。小学1年でソフトボールを始め、飯塚鎮西中では軟式野球部に所属。近大福岡では3年春から主将を務める。好きなプロ野球選手はドジャース山本由伸。182センチ、71キロ。右投げ左打ち。