激戦セ・リーグ 新たな“CS不要論”起こりそうな気配…?

AI要約

前半戦終了後のセ・リーグの混戦状況について。2/3を終えても首位から4位まで2・5ゲーム差という接戦が続いている。

今シーズンにおいて、クライマックスシリーズ不要論が浮上する可能性がある。シーズン終盤まで混戦が続けば、リーグ優勝がCSによって再度争われることの疑問が提起されるかもしれない。

大リーグがリーグ優勝よりもワールドシリーズ制覇を重視していることから、日本野球でもリーグ優勝とCSの関係について再考される可能性がある。

激戦セ・リーグ 新たな“CS不要論”起こりそうな気配…?

 19日からのカードでプロ野球は前半戦が終了、球宴を挟んで後半戦に入ります。そんな時期に少し気の早い話ですが、今年は新しい形での“CS不要論”が起こるのでは、という思いがしています。

 今年のプロ野球、ソフトバンクが強さを誇るパ・リーグはともかく驚くのがセ・リーグです。直前のカードで4位につける阪神が首位・巨人に1勝2敗と負け越したため、少しゲーム差が開きました。

 と言っても巨人(貯金7)に対し、2位・広島(貯金5)が1ゲーム差に迫っています。さらに3位・DeNA(貯金4)が広島に0・5ゲーム差。そして4位・阪神(貯金2)がDeNAに1ゲーム差という状況です。首位・巨人から4位・阪神まで2・5ゲーム差の中にいるのです。

 前半戦終了と書きましたが、おおよそシーズンの2/3を終えたこの時期で、この混戦ぶり。3連勝3連敗で順位が入れ替わるわけで、めずらしい状況と言えるでしょう。5位・中日、6位・ヤクルトは苦しいですが数字的には絶望という感じでもありません。

 そこで思うのは、この状況がシーズン終盤まで続けばどうなるか…ということです。公式戦ラストの対戦結果で優勝が決まるようなことが現実として起こってくるかもしれません。

 1973年(昭48)のセ・リーグでは阪神と巨人の最終戦で勝った方が優勝という状況が生まれましたが今季もそんなシーンがあるかも、ということです。

 そこで考えるのがクライマックスシリーズについて。パ・リーグに遅れて07年にセ・リーグでも導入された、このポストシーズン制度。リーグ優勝を飾ったチームが2、3位との勝者に勝たないと日本シリーズに進出できないシステムは承知の通りでしょう。

 昨年はともに圧勝でリーグを制した阪神とオリックスがCSを勝ち抜き、日本シリーズへ。そこで第7戦まで激闘を繰り広げ、野球ファンを楽しませてくれました。しかし過去にはぶっちぎりで優勝したチームがCSで敗退するケースもあったのです。

 そういうときに上がった声が「何のためのリーグ優勝なんだ」というものでした。しかし今季は、反対の観点からそういう話が出てくるかもしれません。

 CSはシーズン終盤に消化試合が増え、ペナントレースに興味がなくなるのを避けるためのシステムです。しかし今季、この状況が終盤まで続けば優勝の可能性がある球団は下位との対戦も含め、消化試合というムードではなくなるはず。

 適切な言い方かどうかは分かりませんが、大げさに表現すれば、いまはシーズンを通じて、長いCSを戦っているような気さえするのです。そうやって最後に僅差で優勝を決めたチームが、またCSの短期決戦で雌雄を決しなければいけないのは、反対の意味で気の毒のような気もします。

 「日本のファンはリーグ優勝に重きを置く傾向があるけれど大リーグは違います。ワールドシリーズで勝つことが最大の目標。リーグ優勝は通過点という感覚になったら、また違うんでしょうけどね」。米大リーグにも詳しい球界関係者はそんな話をしてくれました。いずれにしても、新たな状況での議論が起こる秋になるかもしれません。【編集委員・高原寿夫】