【バレー】112日間帯同したからこそ見えた選手たちの素顔、そして思いとは/広報リポート

AI要約

チームに帯同した112日間の間、バレーボール女子日本代表の選手たちの成長や素顔、そして五輪メダル獲得を目指す真鍋ジャパンへの思いを振り返る。

選手たちが日々繰り広げるミーティングやコミュニケーションでの努力と成長に焦点を当て、チーム内での言葉の重要性を示唆する。

最終的な目標であるオリンピックを意識しつつ、広報活動を通じて日本代表の魅力を発信し、若い世代にチームスポーツへの関心を喚起する。

【バレー】112日間帯同したからこそ見えた選手たちの素顔、そして思いとは/広報リポート

<女子日本代表広報リポート 最終回>

 バレーボール女子日本代表の坪崎亜希子広報がお届けする「女子日本代表広報リポート」の最終回は、チームに帯同したからこそ感じた選手の素顔や成長を振り返り、五輪メダル獲得を目指す真鍋ジャパンへの思いをつづります。

    ◇   ◇   ◇

 「112日」。これは私がバレーボール女子日本代表に帯同した日数です。

 チームが始動した3月11日はまだ桜も咲いていない春。それが気づかないうちに、気温30度を超える夏が近づいていました。

 これまで体育館での練習だけでなく、さまざまなシーンに同行させてもらいました。部屋での様子や食事シーン。これは、どちらも各メディアに公開され、取材を受けることがありますが、チームスタッフしか撮影が許されない場面はミーティングでした。

 選手ミーティングでは、攻撃に関する決定権を持つポジションのセッターから話し始めます。正セッターの岩崎こよみ選手から話し、関菜々巳選手、松井珠己選手が続きます。その後は日によって渡辺彩選手や山田二千華選手らミドルブロッカー陣やアウトサイドヒッター陣がその日のポイントとなることを話し、最後は古賀紗理那主将が締める、というのが主な流れでした。

 その中で、1日も欠かすことなく常に言葉を発信し続けていた選手のひとりがリベロ小島満菜美選手でした。

 「紗理那はエースとして、キャプテンとしてコートでもたくさん点を取って引っ張っていってくれている。紗理那ひとりでこのチームを引っ張るのではなくてみんなでよりよくしていくことが大事だと思っています」

 その思いを貫き、古賀主将の負担を減らそうとチームのために発信し続けていました。言葉にするということは、同時に自身にも責任が生まれます。コート内外で言葉を発信し続ける彼女なくして、チーム力の底上げはなかったと感じています。

 井上愛里沙選手もそのひとりでした。今年はベンチスタートが多くなった中でも積極的に発信し続けました。「コートの外からも常に情報共有をしていくし、コートの外からも中からも助け合いのコールをしていきましょう」と、常に言葉をかけ続けていました。スターティングメンバーとベンチメンバーの両方の立場を経験している彼女の言葉はコートとベンチの心をつなぐピースであり、重要なポジション。それを全うしていました。

 言葉の発信には、もがいている選手もいました。職人肌のリベロ福留慧美選手です。プレーで見せるだけではなく、言葉で伝える場面も必要と頭ではわかっていても、言葉にするのは苦手な選手でした。そんな彼女が変化したのは、勝てばパリ五輪の出場権獲得が決まるネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド・カナダ戦で敗戦した翌日でした。

 「カナダ戦はブロックディフェンスがうまくいっていなかった。ディグリベロとして入っている以上はブロックの関係など、たくさんコミュニケーションをとらないといけないと感じました。今まで自分がやってこなかったので、間違っていても自分から発信しようと思いました」

 この予選ラウンドではフルセットでブラジルとカナダに敗戦。選手は「相手よりもチーム力が劣っていた」と口をそろえていましたが、諦めることなく発信し続ける選手や勇気を出して一歩踏み出した選手がいたことで、気づけば世界一を決める舞台、決勝に進出し、銀メダルを獲得するチームに成長を遂げました。

 すべてのアスリートが目指す最高峰の舞台オリンピック。選手村での生活、会場の雰囲気、試合での緊張感、その全てを存分に味わい尽くしてきてほしいです。そして、彼女たちの頑張りを一番に証明できるのはやはり「結果」です。彼女たちがどれだけ頑張っているかを目の当たりにしたからこそ思います。努力が報われるために「結果」を出して来てほしいと…。

 そして、もうひとつ。近年、YouTubeやSNSなど、さまざまなコンテンツで魅力が発信される時代です。この「チーム付き広報」は時代の変化によって導入されたもののひとつです。日本代表としてチームに帯同し、ともに五輪切符獲得を目指した新しいカタチ。

 日本代表にはいろいろなカタチがあります。監督、コーチ、トレーナー、アナリスト、マネジャー…いろいろなカタチで日本代表を目指せる時代になっていることが学生や子供たちに伝わることを願って、このリポートを終えたいと思います。

 密着112日。夢のような日々をありがとうございました!

 ガンバレ、ニッポン!

 ◆坪崎亜希子(つぼさき・あきこ)1993年(平5)6月25日、北海道千歳市生まれ。小5からバレーボールをはじめ、高3までバレーボール部に所属。現在は番組制作会社に勤務し、日本バレーボール協会広報部撮影班として女子日本代表チームに帯同した。